山肌が黄金色に染まる富士山の側火山 宝永山

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2015年10月ハワイから戻った僕ら夫婦は、紅葉のきれいなトレイルを目指し、宝永山に向かった。宝永山は1707年の宝永大噴火で誕生した富士山の南東側にある側火山だ。樹林帯のトレイルから始まり、カラマツの黄葉、富士山らしい砂礫のトレイルを経て、異世界のような火口内を歩き、一気に砂走りを駆け下りてくる、富士山だけどピークを目指さないTrail Travelersらしい日帰りの旅だ。

気軽に宝永山を楽しむなら富士宮口5合目からアクセス可能だが、より多くの植生の変化と紅葉をたっぷり楽しむこと、そして大砂走りを駆け下りるため、水ヶ塚公園駐車場からスタートした。

目次

宝永山トレイルの概要

  • 植生の変化、大迫力の宝永火口、眼下に広がる絶景が一度に楽しめる
  • 秋はカラマツの黄葉や、オンタデやイタドリなどの草紅葉が楽しめる
  • 距離:約14km(周遊)
  • 高低差:約1300m(宝永山の標高は2,693m。そこそこの体力が必要)
  • 時間:6時間(休憩30分含む)
  • アクセス:東京から車で2時間
  • 登山口:水ヶ塚公園駐車場
  • オススメ度:★★★★

起点は水ヶ塚公園駐車場・富士山須山登山歩道

明け方に東京を出発し、水ヶ塚公園についたのは朝6時過ぎ。寒い。標高は既に1,500mあるため、かなり冷え込んでいる。天気は快晴で、ちょうどこの日が2015年の富士山初冠雪だった。水が塚公園は2014年までUTMFのエイドだったこともあり、一人テンションをあげる。(笑)

駐車場から道路を渡ったところが今回のトレイル「富士山須山登山歩道」の入り口だ。しばらくは樹林帯のトレイルだが、足元はゴツゴツした溶岩が転がる。このあたりの傾斜はゆるいため、ウォーミングアップに最適だ。

このルートの良いところは、標高が上がるにつれて植生が変化していくところ。宝永山は富士宮口5合目からも登れるが、この水ヶ塚公園からのルートじゃないと、この植生の変化は楽しめない。また、人が少ないこともこのルートのオススメポイントだ。

水が塚公園からの富士山

水が塚公園から眺める富士山。ちょうど2015年の富士山初冠雪だった。

富士山須山登山歩道樹林帯

しばらくはこのような樹林帯が続く。このあたりはまだ紅葉は始まっていないようだった。

樹林帯

少しずつ景観に変化がみられる。紅葉している木々も徐々に増えてきた。

抜群の眺望からいよいよ宝永山火口付近

徐々に視界が開け、きれいに黄葉したカラマツ林の間から富士山が姿を見せる。だいぶ上ってきたようだ。振り返ると愛鷹山塊と駿河湾、伊豆半島まで見渡せる。さすが富士山、周りに遮るものがないため、眺望は抜群だ。

カラマツ林を抜けると、もう宝永火口のすぐそばにいた。宝永山の火口は3つあって、山頂側から順に第1、第2、第3火口と呼ばれている。富士山は火山なのだと感じさせられる荒涼とした光景が広がっていた。

カラマツと富士山

標高を上げていくと、黄葉がきれなカラマツ帯に変化していく!

愛鷹山塊、相模湾、伊豆半島

振り返るとぐっと視界が開けてくる。疲れがふっとぶ瞬間だ!

宝永山火口

右側の大きなくぼみが宝永山の火口だ!

 

強風が吹き荒れる宝永火口付近

このあたりのトレイルは富士山らしい溶岩の砂礫ゾーン。ただでさえ歩き難いのに、この日は風も強くとても歩き難かった。このあたりは森林限界を完全に超えており、遮るものがない。吹きさらしで風が強いエリアだ。宝永山に登る際は、風の強さも事前に天気予報で調べてから登ったほうが良いだろう。

このあたりから富士宮口からのルートと合流するため、他の登山客もちらほら見られるようになった。

宝永山、相模湾、伊豆半島

写真では全く伝わらないけど、このあたりから風がビュービュー

宝永第二火口縁

さすが富士山!案内標識がしっかりしている!

宝永第一火口

第1火口は富士山頂火口よりも大きいそうだ。宝永山山頂は右手部分となり、火口内のトレイルを通っていくことになる。

宝永山荘で小休憩

宝永山を目指す前に、休憩のため宝永山荘を目指す。この小屋は10月末まで営業しているとのこと。自炊だったけど、小屋の中で調理させてくれて助かった!感謝!その代わりにコーヒーを注文し、手作りしたキャラメルポップコーンと一緒に頂いた。

ポップコーンは材料としては嵩張らず、山でも簡単に美味しく作れるので、山飯おやつとしてオススメだ。

宝永山荘

写真中央に小さく写っているのが宝永山荘です

山飯、ポップコーン

キャラメルポップコーンを手作りで!今回はうまくできた!

宝永山荘、標識

宝永山荘の前にある味のある標識。海抜2,500m!結構登ってきたね

いよいよ異世界の宝永火口・宝永山山頂へ

休憩を終えて宝永山の山頂を目指す。この日は風が強かったため、火口まで行って引き返してくる人が多かったようだ。(宝永山荘から火口までは10分程度)

火口の中のトレイルを進むが、砂礫に足をとられ、風が強くなかなか前に進まない。砂塵も舞い散り、耐え忍ぶ時間帯。やっとの思いで、火口を抜け稜線に出ると、今度は体ごと飛ばされてしまいそうなほどの突風が吹き荒れており、二人で手を繋ぎながら慎重に足を進めた。

そして強風の中を歩き続け、ようやく宝永山山頂2,693mに到達!!

眺望は最高だ。伊豆半島、相模湾、愛鷹山塊、御殿場市街、丹沢山系、山中湖、全てが眼下に広がっていた。

宝永第一火口

宝永第一火口の中だ!直径約1,200m、深さは400mとのこと

宝永第一火口

宝永第一火口の中から、宝永山山頂に向かうトレイル。風景の変化が少ないため、距離感が掴みづらく、思いのほか時間と体力を要した

宝永山

突風に耐えながら宝永山登頂ポーズ!

宝永山

宝永山からの眺め、富士山の東側の景色をぐるっと見渡すことができる!

大砂走りをトレイルランニング

宝永山からの下山ルートは大砂走りを選択。待望の走れるトレイル!?重力に体をゆだねるとどんどんスピードが出て止まらない。ザクザクの砂地に足を埋めながらもうダッシュで駆け下りた!

水ヶ塚公園に戻るためには、途中の二合八勺というポイントから右にルートを変える必要があるのだが、勢いよく走っていると気づかぬ間に通り過ぎてしまう恐れがあるので、気をつけよう。そのまま下り続けると御殿場口新五合目に行ってしまう。大きな目印としては、山肌にぽっこり見えてくる二ツ塚(双子山)だ。二ツ塚の右側を抜けるルートを取ろう。

大砂走り

今日はじめての下りにテンションMAX!

大砂走り

景色も最高でテンションMAX!

太陽に照らされ黄金色に染まるトレイル

標高が下がるにつれ、オンタデやイタドリが群生するエリアとなった。草紅葉が最盛期で、徐々に傾いてきた太陽に照らされ、あたり一面が黄金色に染まってた。正面左手には二ツ塚(双子山)も大きく見えてきた。

二ツ塚・双子山

ここに来てまた独特の異世界が楽しめる。左奥に見えるのは二ツ塚(双子山)だ。

宝永山と富士山

振り返ると宝永山と富士山があんなにも遠くに・・・一気に降りてきたことを実感

再び樹林帯に入り水が塚公園へ

再び雰囲気のよい樹林帯に。途中からUTMFのコースに合流し、水が塚公園までトレイルランニング。

富士山樹林帯

最後は気持ちのよい樹林帯に入り、ジョグペースのトレランでクールダウン!

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帰ってきました水ヶ塚公園駐車場!

装備・持ち物

季節にもよるだろうが、晴れていても風がかなり強かった。防風防寒対策は必須だろう。また樹林帯を抜けると遮るものがなく、強い太陽の日差しを直接受けることになるため、日焼け対策もしっかり行いたい。大砂走りで砂礫の中を走り抜けるため、靴はハイカットのトレッキングシューズにゲイター(スパッツ)が望ましい。

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