ギリシャはエーゲ海の南にあるクレタ島。ギリシャ最大の大きさを誇るこの島には、2,000mを超える山がいくつもあり、サマリア渓谷という人気のトレッキングコースがあると聞いてやってきた。1,230mのスタート地点からクレタ島南岸を目指して深い渓谷を歩く山下り。今回はこのサマリア渓谷を歩く日帰りトレッキングだ。
本記事では、サマリア渓谷のトレッキングレポートをお伝えします。
(トレッキング実施日:2016年6月22日)
目次
クレタ島の南西にある人気のコース
サマリア渓谷はクレタ島の南西に位置し、オマロスという村からクレタ島の南岸リビア海に面したアギア・ルーメリという村まで16キロのトレッキングコースが整備されている。
スタート地点が標高約1,230mでゴールは海。今日はひたすら下るトレッキングだ。

スタート地点のオマロス。今日は山登りではなく、山下り

最初に入場料として5EURを支払う
急な下り坂から樹林帯へ
スタートしてすぐに急な下り坂が始まる。人気のトレッキングコースということもあり、僕ら以外にもたくさんのハイカーがいる。
最初は眺望があるものの、しばらくすると樹林帯の中に入り、眺望は無くなる。傾斜も緩くなり、比較的歩きやすい山道となる。

スタートしてすぐ急な下り坂が始まる。しばらくは眺めも良い

しばらくすると眺望のないトレイルへ

眺望はないものの気持ち良いトレイル
水場が整備されたトレッキングコース
ギリシャを訪れる前に歩いたトルコのトレイルも暑かったが、今日も暑い。クレタ島の気候は大部分が地中海性の気候だが、南部の沿岸は北アフリカの気候とのこと。そんなところを歩いているのだ。
16kmのルート上に小屋や売店などはないが、整備された水場が非常に多い。初めのうちは1kmごとにある。この暑さのため、たくさんの人が水場で給水をしていた。

身軽なハイカーも多い

水場で休憩するハイカー
このトレイルの見所は後半
16kmのトレイルの前半は、言ってしまえば眺望の無い山道を淡々と下るのみ。このトレイルの見所は後半だ。
トレイルの両脇にそびえ立つ岩山が徐々に近づき、垂直の岩壁となって迫ってくる。その垂直の壁には、横から縦へ、そしてまた横にうねるように捻れた何層もの地層が見える。
長い年月をかけて、この深く鋭い渓谷が作り出されたかと思うと、自然の力は本当に偉大だ。

徐々に眺望が開け、両脇に山を眺めながら進む

両脇の山は垂直の岩壁に変わっていく

グネグネとうねる地層
すぐそこまで迫り来る岩壁
見上げてみるとどこまでも高く、この渓谷の深さを感じ取ることができる。
最後は幅3mくらいまで岩壁が迫りくる。そこを抜けるとゴールまではあと少しだ。

深い渓谷に吸い込まれるように続くトレイル

最後は幅数mまで迫り来る
ゴールはリビア海
最後はアギア・ルーメリというリビア海に面した村にたどり着く。トレッキングはここで終了となるが、宿泊している街に戻るためには、フェリーで隣町のスファキアまで移動し、そこからバスで戻ることになる。
フェリーの時間までは、カフェでのんびり過ごしたり、海で泳いだりして過ごすのが主な時間の使い方。僕らは日陰に腰を下ろし、持ってきたサンドウィッチを食べたりして過ごした。

アギア・ルーメリのビーチ

アギア・ルーメリからスファキアまではフェリーで移動
フェリーからの眺めも素晴らしい
17:30にフェリーが出航。東へ進路をとる。左手にクレタ島を眺めながら1時間ほどのクルーズだ。
クレタ島の南岸はビーチと山が繰り返すような地形となっており、実はここもトレッキングコースになっている。サマリア渓谷の風景とは一変して海沿いを歩くトレイルだ。
大半の人はアギア・ルーメリがゴールだが、アギア・ルーメリに一泊し、スファキアまでこの海沿いトレイルを歩くのも気持ち良いだろうなと思った(ただし、日陰が一切無いように見えたため、日差しがきつい季節は注意が必要)。

17:30にフェリーが出港。ここからはちょっとしたクルーズ

美しいクレタ島の南岸。ここにもトレッキングコースが伸びる

ビーチでテント泊をしている人も。気持ち良さそう!
歩き終えて
全て下りのトレイルであったが、16kmという距離は歩きごたえがあるものだった。前半は少し眺望も変化も少なく退屈なトレイルだが、後半のそびえ立つ岩壁は、他ではなかなか見られないサマリア渓谷ならではのもの。ゴール後は、アギア・ルーメリでゆっくり過ごしを使い、その後は1時間のショートクルーズ(フェリー移動)があるところもこのトレッキングコースの特徴で、ギリシャ・クレタ島の旅行とセットで楽しむには非常に良いところだと感じた。
トレッキングメインで考える場合は、6月より早い時期(雪解けやトレイルの整備の状況によるが毎年5/1がオープン)に訪れると渓谷に流れる雪解け水も多く、渡渉などアドベンチャー感がもっと味わえ、さらにアギア・ルーメリで一泊し、その先の海沿いトレイルを歩いたりすると、かなり面白いトレッキングになるのではないかと感じた。

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