自由と自律を楽しむ ジョンミューアトレイル②

JMT

7月から8月にかけてヨーロッパ各地のトレイルを歩き周った僕らは、大西洋を渡りアメリカ・カリフォルニアへやってきた。ヨセミテ国立公園などがあるシエラネバダ山脈には数多くの美しいトレイルがあり、その中でも人気が高いのがジョンミューアトレイル(JMT)だ。北はヨセミテバレーから南はアメリカ本土最高峰のマウントホイットニーまで続く全行程210.6マイル(337キロメートル)。今回僕らはその内の3分の1程度を7日間かけて歩いた。

本記事ではトレッキング三日目・四日目のレポートをお伝えします。

(トレッキング実施日:2016年9月6日、7日)

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Day 3 概要 ロザリーレイク〜サウザンドアイランドレイク

  • スタート地点: ロザリーレイク Rosalie Lake
  • ゴール地点: サウザンドアイランドレイク Thousand Island Lake
  • 9時25分出発 16時15分到着
  • 行動時間: 6時間50分(休憩込み)
  • 距離: 約8.3マイル(約13.3キロ)

トレッキングの新たな魅力

日の出とともに起床。とても冷え込んだ朝だったが、空が明るくなるのと同時に動き出すのはとても清々しかった。

朝ごはん用の水を湖から給水し、焚き火のための枯れ枝や松ぼっくりを集め、火をつける。

水も火も全て自然の中から入手するプロセスに、自分もこの自然の中の一部なんだという不思議な感覚を覚えた。トレッキングで山を歩くだけではない新たな魅力に気づいた瞬間だった。

朝のロザリーレイク。ようやく日が差し込み始めた湖のほとりで、冷んやりとした水を汲む

朝のロザリーレイク。ようやく日が差し込み始めた湖のほとりで、冷んやりとした水を汲む

松ヤニがたっぷりついた松ぼっくりが着火材として最適だった。こんな数は要らないのだが、なんだか楽しくてたくさん拾ってしまった、笑

松ヤニがたっぷりついた松ぼっくりが着火材として最適だった。こんな数は要らないのだが、なんだか楽しくてたくさん拾ってしまった、笑

標高とともに変化していく景色

今日はサウザンドアイランドレイクまでの約8.3マイル(約13.3キロ)を歩く。

ロザリーレイクからシャドウレイクまではスイッチバックの急な下り。そこを越えると再び登りとなる。標高が上がるとともに少しずつ樹木が少なくなり、木と木の間から青い空や遠くの岩稜が顔を出す割合が増えてくる。

ガーネットレイク手前の峠のような場所まで来ると高い木はほとんどなくなり、ガレた山肌に黄葉した草が広がるようになる。振り返ると遠くの景色も見渡せる美しい眺望ポイントだった。

ガーネットレイク手前の登り。高い木々が減って視界は青空が占めるようになり、足元は黄葉した草が一面に広がる

ガーネットレイク手前の登り。高い木々が減って視界は青空や岩稜が占めるようになり、足元は黄葉した草が一面に広がる

ガレたトレイルを登り続け、高いポイントまで来て振り返った風景

ガレたトレイルを登り続け、高いポイントまで来て振り返った風景

次々と現れる湖、歩いていて楽しい区間

ここを越えると眼下にガーネットレイクが見えてくる。湖の中にいくつもの小さな島が浮かび、背後にはまだ雪の残るバナーピークがそびえ立っていた。ここも息を飲む美しさだった。僕らのJMTのお気に入り風景のひとつとなった。

ガーネットレイクの次は、ルビーレイク、エメラルドレイクと、その名の通りの美しい湖が次々と現れる。歩いていて楽しい区間だった。

峠を越えるとガーネットレイクが見えてくる。とても美しい眺めに、ザックを降ろしてしばらく休憩をとった

峠を越えるとガーネットレイクが見えてくる。とても美しい眺めに、ザックを降ろしてしばらく休憩をとった

トレイルはガーネットレイクのほとりまで伸びていた。何度も立ち止まって湖を眺めこむ

トレイルはガーネットレイクのほとりまで伸びていた。何度も立ち止まって湖に見とれる

湖面が満天の星空のようにきらびやかで美しいルビーレイク

湖面が満天の星空のようにきらびやかで美しいルビーレイク

たくさんの小島が浮かぶ湖のそばでキャンプ

そしてようやく今日の目的地サウザンドアイランドレイクが見えてきた。ガーネットレイク同様に湖の中にたくさんの小さな島が浮かぶ。名前の通りの湖だ。ガーネットレイクより広く、湖周辺の視界も開けているため、開放感があり、その後ろにあるバナーピークの姿もより美しく見えた。

サウザンドアイランドレイクのJMTルート付近はキャンプ禁止区域。サウザンドアイランドレイク近くでキャンプをするためにはJMTルートから外れて湖沿いのトレイルを少し先まで進む必要がある。

今日も湖を正面に望める素敵なキャンプ適地を見つけ、ゆっくりと日没までの時間を過ごす。

本日の目的地サウザンドアイランドレイク。JMTルートの側はキャンプ禁止区域のため、湖畔をぐるっと回って向こう側まで歩く

本日の目的地サウザンドアイランドレイク。JMTルートの側はキャンプ禁止区域のため、湖畔をぐるっと回って向こう側まで歩く

今日のキャンプ地からの眺め。小高い丘から湖とバナーピークが望める最高のロケーション!

今日のキャンプ地からの眺め。小高い丘から湖とバナーピークが望める最高のロケーション!

Day 4 概要 サウザンドアイランドレイク〜ライエルキャニオン

  • スタート地点: サウザンドアイランドレイク Thousand Island Lake
  • ゴール地点: ライエルキャニオン Lyell Canyon
  • 9時40分出発 17時45分到着
  • 行動時間: 8時間5分(休憩込み)
  • 距離: 約12.3マイル(約19.8キロ)

静寂からはじまる強いエネルギーを感じる朝

JMTの朝は本当に気持ちが良い。

特にこの日の夜明けは、風がなく全てが静まりかえり、サウザンドアイランドレイクの湖面は鏡のようで、徐々に白くなっていく空と太陽で赤く染まり始めるバナーピークを写し込んでいた。静寂から何かが生まれてくるようなものすごいエネルギーを感じる瞬間だった。

サウザンドアイランドレイクは、クングスレーデンを歩いた後ナルヴィークの宿で話をした韓国人のハイカーが絶賛していた場所で、僕らも楽しみにしていた場所。出発の準備を済ませた後も、何度も写真を撮った。

サウザンドアイランドレイクの夜明け。あたりは静寂に包まれていた

サウザンドアイランドレイクの夜明け。あたりは静寂に包まれていた

今日は登って下る厳しい行程

今日は、11,703フィート(約3,567メートル)のドノフーパスを越え、そこから一気に9,000フィート以下まで下ったライエルキャニオンまで進む予定。約12.3マイル(約19.8キロ)の行程。距離・標高差ともに厳しい1日となる。

まずはアイランドパスを目指す。登りとなり、高台の上からサウザンドアイランドレイクを見下ろすことができるため、何度も立ち止まり写真を撮る。アイランドパス自体は緩やかな峠でいつの間にか下りに変わった。ラッシュクリークトレイルとの分岐まで下ると、そこからいよいよドノフーパスに向けての登りが始まる。

ここは水量のある綺麗な小川が流れている。これ以降ドノフーパスを越えるまでの小川は、ほぼ水が枯れていたため、9月頃に歩く場合はここでしっかり給水しておきたい。

アイランドパスへの登り。目の前に見えるバナーピークの圧倒的な存在感・・・

アイランドパスへの登り。目の前に見えるバナーピークの圧倒的な存在感

ラッシュクリークトレイルとの分岐近く。この辺りの川がドノフーパスに向けての最後の水場となった

ラッシュクリークトレイルとの分岐近く。この辺りの川がドノフーパスに向けての最後の水場となった

タフだけど秋らしいJMTを楽しめる箇所

ラッシュクリークトレイルとの分岐からドノフーパスまでは思った以上に長く、日差しもきつかったため、タフな箇所となった。一方で、赤や黄色に紅葉した草が一面に広がる光景は美しく、昨日までの湖が広がるみずみずしい雰囲気とは異なる秋らしいJMTを楽しめる箇所でもあった。

赤や黄色に染まる草が秋の気配を感じさせてくれた。この時期にJMTを歩く魅力の一つかもしれない

赤や黄色に染まる草が秋の気配を感じさせてくれた。この時期にJMTを歩く魅力の一つかもしれない

ドノフーパスへの登りは、緩やかだけど長く、強い日差しが体力を奪っていった

ドノフーパスへの登りは、緩やかだけど長く、強い日差しが体力を奪っていった

ドノフーパスに到着、ここから一気に下っていく

ドノフーパスに到達したのが16時。だいぶ遅くなってしまった。

峠の向こう側、はるか遠く、はるか下の方にライエルキャニオンと思われる谷底の平地が見える。苦手な登りをクリアした僕らは、ここから一気にペースを上げて下っていく。峠を越えてから眼下に広がる景色を眺め歩くのはいつも気持ちが良い。峠越えは苦しいが、その先に新たな景色が待っているから、峠越えはむしろ好きな方かもしれない。

登りが苦手な僕ら。かなりの時間を使ってドノフーパスに到着

登りが苦手な僕ら。かなりの時間を使ってドノフーパスに到着

ドノフーパスからの眺め。今日ははるか下の方に広がるライエルキャニオンまで降りる予定

ドノフーパスからの眺め。今日ははるか下の方に広がるライエルキャニオンまで降りる予定

まさかのコースロスト

マウントライエルからのカール地形が広がる地点を越え、ライエルキャニオンに降りるまでの間に、一度草原が広がる場所があるのだが、そこに向けての下りで、まさかのコースロストをしてしまった。

ペース良く下っていたため、気づかぬうちに正規ルートを外れ、岩だらけの崖のような場所を下り始めていたようだ。引き返すことも考えたが地図と居場所を照らし合わせ、なんとかそのまま下りることができそうであったため、慎重に崖を下ることにした。

無事に下りきり先を急ぐ。この辺りも景色が大変美しくキャンプ適地でもあったのだが、焚き火禁止区域。ロザリーレイクで覚えた焚き火の楽しさから、この日はどうしても焚き火ができるライエルキャニオンまで降りたかったのだ。

マウントライエルから広がるカール地形を眺めながらテンポ良く下っていく!

マウントライエルから広がるカール地形を眺めながらテンポ良く下っていく!

快調に下っていると、いつの間にかゴツゴツとした岩場の急な下りに。写真を撮っているこの時は気づいていなかったが、正規ルートを外れていた

快調に下っていると、いつの間にかゴツゴツとした岩場の急な下りに。写真を撮っているこの時は気づいていなかったが、正規ルートを外れていた

この辺りもキャンプ適地。焚き火禁止区域である点を気にしなければここにキャンプを張るのも良い選択だろう

この辺りもキャンプ適地。焚き火禁止区域である点を気にしなければここにキャンプを張るのも良い選択だろう

ひっそりとした森の中でキャンプ

18時前にようやくライエルキャニオンのキャンプ適地に到着。

遅くなったため、ファイヤーサークルのある場所はすでに他のトレッカーに占有されているかと思ったが、この辺りでキャンプを張っている人は誰一人いなかった。薄暗くなり始めた森はどこか不気味で、少し不安な気持ちになった。

テントを設営し、夕食の準備をしているうちにすっかり暗くなってしまったが、念願の焚き火を楽しみながら夕食を楽しみ、就寝。

さらに下っていく。徐々に日が傾き始め、ライエルキャニオンも影で覆われてきた

さらに下っていく。徐々に日が傾き始め、ライエルキャニオンも影で覆われてきた

ライエルキャニオンまで降り、キャンプ適地を探しながら歩く。このもう少し先でようやくファイヤーサークルのある場所を発見できた

ライエルキャニオンまで降り、キャンプ適地を探しながら歩く。このもう少し先でようやくファイヤーサークルのある場所を発見できた

Day3〜4のハイライトと改善点

<ハイライト>

  • サウザンドアイランドレイクの夜明け
    風もなく、音もない。夜明け前は、まるで時が止まったかのような静寂に包まれていたサウザンドアイランドレイクだったが、徐々に空が白くなり、正面のバナーピークが真っ赤に染まっていく・・・
    何かが生まれてくるようなものすごいエネルギーを感じた瞬間だった!

  • ドノフーパスの先に新たな景色が広がった瞬間
    きつかったドノフーパスまでの登りを終えると、その先、遥か遠くに広がるライエルキャニオンが見えた。新たな景色に巡り合える峠越えは、僕らが好きなトレイルの一つ

<改善点>

  • 美しい景色に見とれてしまい気づかぬうちにコースロスト
    ドノフーパスからの下りは美しい景色が続き、テンポ良く歩きながら、写真も数多く撮っていた。気づかぬうちに正規ルートからロストしてしまい、急な岩場を下ることに。
    なんとか無事に下ることができたが、一歩間違えば、危険な状況になっていた可能性も・・・

  • キャンプ地選びの判断基準
    焚き火をするためにライエルキャニオンまで下ってキャンプ地を探したが、見つけたキャンプ跡地は眺望のない森の中だった。
    ライエルキャニオンまで降りる前には、マウントライエルが眺められる美しい場所もあったため、焚き火にこだわらず、気持ちの良い場所にキャンプしてもよかったかもしれない

五日目・六日目のトレッキングレポートはこちら

自由と自律を楽しむ ジョンミューアトレイル③
ヨセミテ国立公園などがあるシエラネバダ山脈には数多くの美しいトレイルがあり、その中でも人気が高いのがジョンミューアトレイル(JMT)だ。今回僕らは、全行程210.6マイル(337キロメートル)の内の3分の1程度を7日間かけて歩いた。トレッキング五日目・六日目のレポートです。

準備アクセス等のまとめ記事はこちら

ジョンミューアトレイル トレッキングまとめ
ヨセミテ国立公園などがあるシエラネバダ山脈には数多くの美しいトレイルがあり、その中でも人気が高いのがジョンミューアトレイル(JMT)だ。今回僕らは、全行程210.6マイル(337キロメートル)の内の3分の1程度を7日間かけて歩いた。本記事では、準備とアクセス、ルート、気候と装備、食事と宿泊等についてまとめました。

世界のトレイルを巡る旅の全体概要はこちら

世界のトレイルを巡る旅 ルートまとめ
2016年4月13日から300日間、僕らは夫婦で世界のトレイルを巡る旅に出発しました。本記事では、僕らが訪れた世界のトレイルと旅全体のルートをまとめています。
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