南米最後のトレッキングはチリ・パタゴニアにあるパイネ国立公園。1日の中に四季があると言われるほど目まぐるしく変化する天候、吹き飛ばされそうなほど強い風、天に向かってそびえる奇岩の塔群、南国の海のように鮮やかな色をした湖など、パタゴニアの厳しさと魅力を詰め込んだような場所だ。
本記事では、パイネ国立公園でのトレッキングのまとめとして、ルート、準備とアクセス、気候と装備、食事と宿泊などについてまとめました。
(2016年12月時点の情報です)
パタゴニア パイネ国立公園とは
南アメリカ南部、パタゴニア地方のチリ側にある国立公園。正式にはトーレス・デル・パイネ国立公園です。公園内にはトレイルが整備され、有名なトーレスデルパイネやクエルノスパイネ等の岩峰や、南極ブナの森、エメラルドグリーンの湖、氷河等を楽しめます。僕らは三泊四日で歩きました。
トレッキングルート
僕らは当初Wコースを西側から東側に歩く予定でしたが、一部のキャンプ場の予約が取れなかったため、サーキットコースの一部を歩いてからWコースを東側から西側に抜ける変則的なルートで歩きました。
パタゴニア・パイネ国立公園を巡る三泊四日のトレッキングレポートはこちら
https://trailtravelers.net/patagonia-torres-del-paine1/
https://trailtravelers.net/patagonia-torres-del-paine2/
https://trailtravelers.net/patagonia-torres-del-paine3/
https://trailtravelers.net/patagonia-torres-del-paine4/
セレンキャンプ場までのトレイルは、Wコースでは通常通らないところですが、ちょうど花が綺麗な季節で遠くまで草原が広がりロングトレイル感を楽しめました。グレイ氷河はWコースでは定番の目的地のひとつですが、今回はキャンプ場の予約が取れず断念しました。パタゴニアの氷河ではアルゼンチン側のペリトモレノ氷河も有名です。両方の氷河に行ったというカザフスタン人の青年と現地で仲良くなりましたが、彼は、ペリトモレノ氷河とグレイ氷河のどっちかひとつならペリトモレノ氷河の方、という感想を言っていました。僕らもペリトモレノ氷河は大満喫したので、残念ですが今回はこれで良しとしました。
なお、コースタイムと距離表示が事前入手した地図と看板によって違うところがあったので、余裕を持ったトレッキング計画で臨むことをおすすめします。現地の看板が最も正確だと思われます。
アクセスと準備
プンタアレーナスからプエルトナタレスへの行き方
なお、プンタアレーナスはチリの首都サンティアゴからのフライトの他、飛行機で行く南極ツアーの拠点でもあるようです。
エルカラファテからプエルトナタレスへの行き方
エルカラファテからプエルトナタレスの移動についてはフィッツロイのまとめにも記載がありますので参考にしてください。
https://trailtravelers.net/patagonia-fizroy-summary/
プエルトナタレスからパイネ国立公園への行き方
パイネ国立公園ではバスはまずアマルガ湖近くの国立公園入り口に到着します。ここで一度全員降りて、公園入場料を支払い、レンジャーから公園内のルールについて説明を受けます。その後、ホテルラストーレス方面まで移動する場合は別のバスに乗り換えます。もちろんここからトレッキングを始めることも可能です。パイネグランデ方面に行くにはプデトまでバスで行って、そこからペオエ湖をフェリーで渡ります。セレンキャンプ場方面に行くには、国立公園入り口から歩き始めます。
パイネ国立公園をトレッキングするための準備
合わせて、公園内で一泊以上する場合は宿泊場所の予約が必須となります。ホテル・キャンプ場の空きには限りがあるので、このキャパシティーが実質的な入場者数制限になっています。トレッキング日程が決まったら、早めにホテル・キャンプ場を予約することをおすすめします。
気候と装備
パタゴニア・パイネ国立公園は「嵐の大地」と言われるほど厳しい環境です。「一日のうちに四季がある」と言われるほど目まぐるしく天気が変化し、夏であっても雪が降ることもあります。トレッキング終了後、プエルトナタレスに滞在していた日は、晴れと土砂降りの雨が一日のうちに何度も繰り返す不思議な天気でした。晴れている時は紫外線がかなり強いです。
よって、雨風、寒さ、日焼けのいずれについてもしっかりと対応できる装備で臨む必要があります。
テントや寝袋、ガスバーナーなどはプエルトナタレスのアウトドアショップでレンタルできます。店により値段や在庫状況に違いがあるため、複数件見て回ると良いでしょう。火器は、ガス燃料のものしか認められていないようです。ネイチャーストーブやアルコールストーブは禁止されているので注意しましょう。水はそのままでも飲めるようですが、僕らは浄水していました。
僕らの海外トレッキング&世界一周の装備・持ち物のまとめ記事はこちら
https://trailtravelers.net/world-travel-item/
食事と宿泊
パイネ国立公園内の食事と宿泊
パイネ国立公園内にはホテル、山小屋、キャンプ場が複数あります。
食事
ホテル、山小屋ではレストランや簡単な売店が併設されています。 テント泊でも食事だけ利用することも可能です。自炊する場合、ストーブは決められた場所(キャンプ場)のみでしか使用できません。行動中の食事は火を使わなくても食べられるものがおすすめです。
宿泊
テントはキャンプ場のみでしか使用できません。公園内にキャンプ場は複数あります。キャンプ場には有料のものと無料のものがあります。無料のキャンプ場はトイレと炊事場のみで、有料のキャンプ場はシャワー施設が併設されています。テントや寝袋は、各キャンプ場でもレンタルできるため、キャンプ用具を持ち合わせていない場合でも、テント泊が可能です。レンタルのテントは既に設置されているため、設営・撤去の手間もかかりません。
山小屋はドミトリーが基本となりますが、ホットシャワー等の設備を使え、寒さや雨を気にせずゆっくり休めるため、テント泊が基本の場合も、何日かトレッキングする場合は、一泊ぐらいは組み込んでおくのもおすすめです。一部を除き、山小屋ではシーツまたは寝袋の持参が必要です。その他、ホテルや個室中心のキャビンもあります。
宿泊施設の予約
ホテル、山小屋およびキャンプ場は事前の予約が必須です。かつては予約がなくても当日空きがあれば利用できたようですが、近年人気が高まり、2016年10月から事前予約がないと歩くことが認められないというルールになりました。予約も以前は国立公園入り口やプエルトナタレスの街中にあるオフィスで行うことが一般的だったようですが、現在は全てネットでできるようになったため、早くから予約で埋まってしまうようになりました。日程が決まったら早めにネットで予約しましょう。
有料の山小屋、キャンプ場の運営会社は2つあり、それぞれ予約サイトが異なります(Vertice社とfantasticosur社)。また無料のキャンプ場の予約は国立公園が運営する別サイトとなります。トレッキングルート、日程と相談しながら、泊まりたい場所のキャンプ場が載っているサイトを見て手配する必要があります。
僕らはキャンプ場の予約が全てネットで可能になっていたことを把握しておらず、トレッキング直前にプエルトナタレスのオフィスで手配しようとしたところ、希望するキャンプ場は既に予約で埋まっていました。空いているキャンプ場を組み合わせることで、変則的なルートになりましたが、なんとか歩くことができました。
僕らが利用したロッジ・キャンプ場と料金は後述の「主な費用」をご参照ください。
プエルトナタレスでの食事と宿泊
プエルトナタレスの街にはレストラン、大きなスーパー、ホテル、安宿等一通りあります。
僕らがプエルトナタレスで宿泊したのはSinging LambとHostel Last Hope。どちらもコモンルームの居心地がよく、清潔感もありました。Singing Lambはドミトリーの二段ベッドを利用しましたが、マットも掛け布団もふかふかで快適でした。Hostel Last Hopeには大人しくて愛想のいい犬が三匹いて可愛かったです。
Singing Lambの予約サイトはこちら。
Hostel Last HopeのHPはこちら。
主な費用
(参考) 1CLP(チリペソ)=約0.18円 ※2016年12月レート
- パイネ国立公園入場料 一人21,000CLP
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プエルトナタレスからパイネ国立公園までのバス往復 一人13,000CLP
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パイネグランデからプデトまでのフェリー片道 一人18,000CLP
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セレンキャンプ場 一人7,000CLP
- セレンキャンプ場テントレンタル 7,500CLP
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セントラルキャンプ場 一人7,000CLP
- セントラルキャンプ場テントレンタル 7,500CLP
-
クエルノス小屋(ドミトリー) 一人32,500CLP
- ガスストーブレンタル(三泊四日) 4,000CLP
参考にした情報
パイネ国立公園公式サイト
パイネ国立公園の公式サイトです。無料キャンプ場の予約はこちらで行うことができます。
Fantasticosur社
Fantasticosur社のサイトです。Fantasticosur社が運営する有料のキャンプ場、山小屋の予約はこちらで行うことができます。トレッキングツアーも開催しています。
Vertice社
Vertice社のサイトです。Vertice社が運営する有料のキャンプ場、山小屋の予約はこちらで行うことができます。トレッキングツアーも開催しています。
参考にした書籍
パタゴニアに魅せられて移住した写真家の紀行文。パイネ国立公園やフィッツロイだけではない、パタゴニアの魅力が綴られています。これを読むともっと様々なパタゴニアに行きたくなりました。気分を盛り上げてくれる一冊。Kindle版があるので荷物にならず重宝しました。
まとめ
パイネ国立公園は、パタゴニア観光で最も人気がある場所の一つです。トーレスデルパイネ、フランセス谷、グレイ氷河が有名な眺望ポイントにはなりますが、それ以外の場所でもパタゴニア特有の森や草花、川や湖の美しさを堪能することができます。気候の厳しさを含め、パタゴニアの魅力を全て詰め込んだような場所とも言われますが、本当にそうだと思いました。
またキャンプ場から山小屋、ホテルまで宿泊施設が充実していることがパイネ国立公園の特徴です。トレッキング初心者からタフなハイカーまで、それぞれのスタイルで楽しめる態勢が整っています。
今回はWコースを歩きましたが、次に行く時はサーキットコースを歩き、パタゴニアの厳しくも美しい自然をもっともっと楽しみたいなと思います。
最後に、実際にパタゴニア・パイネ国立公園に行ってわかったことをまとめました。
https://trailtravelers.net/patagonia-torres-del-paine-tips/
パタゴニア・パイネ国立公園でのトレッキングで気になることがあればコメント欄に!
パイネ国立公園でのトレッキングって実際どうなの?と気になることがあれば、コメント欄にメッセージいただければ、今回のトレッキングの実体験をもとに、わかる範囲でお答えします!
コメント
コメント一覧 (4件)
楽しく、たくさんの知識が得られました。ありがとうございます。2019年12月初めにWルートに行こうと計画中です。案の定、小屋、キャンプ場は満杯です。Wルートは無料のイタリアーノキャンプ場があるとのことですが、もしご存知なら無料サイトは予約が必要なのか教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。
輪島さん、コメントありがとうございます。
無料のキャンプ場も確か予約が必要だったかと思います。
http://www.parquetorresdelpaine.cl/es/sistema-de-reserva-de-campamentos-1
こちらを見に行くと、まだ、今シーズンのチケット販売が開始されていないようですね。
The Reservation And Ticket Purchase Platform For The 2019-2020 Season IS NOT ENABLED.
このサイトを拝見して、パタゴニアへ行くことを決めました!記録から素敵な場所、旅であったことが伝わってきて、我慢できなくなってしまいました。日本から一番遠い地域で、日本にはない規模の山を眺めながらのトレッキング、憧れます。
パイネ国立公園、フィッツロイでキャンプしながら歩こうと考えているのですが、プエルト・ナタレス、エル・カラファテの町では、ガス缶、食糧の調達可能でしたか?
yoshikitoさま、コメント遅くなりすみません。
パタゴニアはとても遠いですが、素晴らしい場所なのでぜひ足を運んでみてください。
プエルト・ナタレス、エル・カラファテ共に、ガス缶、食料の調達は可能です。よろしくお願いします。