中央アジア・キルギスで美しい高原トレッキングを楽しんだ僕らは、ウズベキスタンを経由し、ジョージア(グルジア)に向かった。街並みは一気に西洋風に変わり、ヨーロッパに近づいてきたことを感じる。コーカサス地方は美しい自然に恵まれ、ヨーロッパの片田舎を気軽にトレッキングで楽しむことができる。今回はロシアとの国境付近にある町カズベギのトレッキングコースを歩いた。往復3時間弱のライトなトレッキングだ。
(トレッキング実施日:2016年5月24日)
目次
天候に不安を抱えつつ、カズベギに向けて出発
ジョージアについてからは雨交じりの天気だった。今回目指すカズベギはロシアとの国境付近のコーカサス山脈に位置する町で、天気予報は先々ずっと雨または雷雨だった。
※カズベギはソ連時代の地名であり、現在はソ連以前の名称であるステパンツミンダが正式名称だが、現地ではカズベギが多用されていたため、カズベギを使用
カズベギに向かう日の朝、首都トビリシも雨だった。ここまで1ヶ月半でアジアを一気に駆け抜けてきた旅の疲れもあってか、なかなか動き出す気持ちになれなかった。
とは言え300日間で世界のトレイルを巡るためには悠長なことは言っていられない。天候が回復する可能性も考え、僕らは重い腰を上げてカズベギへ向かった。
道中は絶景のジョージア(グルジア)軍用道路
カズベギまでの道中は、ジョージア(グルジア)軍用道路と呼ばれるトビリシからロシアまで続く全長約210キロの道を行く。軍用道路という仰々しい名前からは全く想像できない美しい道で、緑の中にゆったりと流れる川や、時折現れる教会、道路を横切る羊の大群、そして途中から高くなる標高とともにダイナミックに変化する景観が楽しめる。
途中、ロシア・ジョージア(グルジア)友好記念塔というソ連時代の1983年にロシアがジョージアとの友好200周年を記念して建設した壁画展望台があり、美しい景観が楽しめる。そこを越えると、カズベギまではあと少しだった。
どんよりとした天気の中、出発
カズベギに着くと、どんよりとした雲が立ち込めていたが、雨は降っていなかった。明日の天候がどうなるかもわからないので、宿で一息ついてから、カズベギの町からも望めるツミンダサメバ教会を目指した。クヴェミムタ山の山頂に立つ教会だ。晴れていればその先に、標高5,033mのカズベギ山も望めるはずだったが、残念ながら雲の中。
トレイルが始まると一気に急登へ
ツミンダサメバ教会はカズベギの中心部からジョージア軍用道路を挟んで反対側にある。
集落を抜けると登山道が見えてきた。ここからはなかなかの急登だ。馬の放牧地を越え、針葉樹の林を越え、途中、蛇行する林道を何度も横切った(教会までは4WDの車でも行けるが、大半の人はトレッキングを選択している)。
しばらくすると林道とは違う方向にトレイルが進み、立ち込めていた樹木もなくなりスッキリとした草原トレイルに変わる。ただし急登なのは変わらない。雨の影響もあって足元が滑りやすいため、ゆっくり慎重に登る。
目の前に教会
前方に教会が見えてきた。あと少しだ。振り返るとカズベギの町を見下ろすことができ、それなりの高低差を登ってきたことを認識する。大した距離・標高差でもないのに、結構疲れていた。
教会が近くなってからも直進はできず、教会の周りをぐるっと周回しながら進む。
ようやく到着、達成感は十分
ぐるっと回ってツミンダサメバ教会に到着!
曇り空で眺望はイマイチだけど、達成感は十分。
ツミンダサメバ教会は14世紀に建てられたグルジア正教の教会。
晴れていれば、カズベギの集落とその後ろに見える急峻な山が美しく、反対側には5,033mのカズベギ山も美しく見えるはずだった。心の中では、明日晴れればまた登っても良いかなぁ、なんて暢気なことを考えていた。
一気に下山、夜にはカズベキ山が見えた
教会内部を見学し、一休みしてから下山開始。いつもながら下りは早い。急斜面をテンポ良く下りていく。
登山口付近までは30分ほどで下りてきてしまった。そこから宿まで30分ほどゆっくり歩いて帰った。宿から外を眺めると、カズベギ山が美しく顔を出していた。
翌日は気持ち良い快晴
トレッキング翌日はすっきりとした青空に包まれた。絶好のトレッキング日和であったが、前日の夜より体調を崩してしまい、トレッキングはせずトビリシに戻ることにした。
体調が良ければ青空のもと天にそびえ立つツミンダ・サメバ教会やカズベギ山の姿を楽しめたかと思うと大変残念だが、まだまだ先が長い旅のことを考えると無理はできない。
歩き終えて
今回は天候不順と自らの体調不良もあって、残念ながらもっともっと美しいであろうカズベギ・ツミンダサメバ教会へのトレッキングのチャンスをつかむことはできなかったが、カズベギまでの道中、ジョージア(グルジア)軍用道路で眺めた、ヨーロッパの片田舎の風景、山の上に教会があるというこれまでにない景観などから、美しいジョージアのトレイルの片鱗は味わうことができたと思う!
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