スウェーデン クングスレーデン トレッキングまとめ (2) 装備・宿泊、他

Kungsledenクングスレーデン、日本語では王様の散歩道と訳された北欧を代表するロングトレイル。散歩道と言う名前からはとても穏やかなトレイルを連想させるが、北極圏に位置するこのトレイルは真夏でも気温が低く、天候も崩れやすいため、しっかりとした装備・準備が求められるトレイルの王様だ。今回はアビスコからニッカルオクタまでの約110キロを7日間かけて歩いた。

本記事では、クングスレーデンでのトレッキングのまとめとして、気候と装備、食事と宿泊についてレポートします。

(2016年8月時点の情報です)

アクセスと準備、ルートについてはこちらにまとめています。

https://trailtravelers.net/kungsleden-summary1/

目次

気候と装備

クングスレーデンの主な特徴として次の点があげられます。

  1. 雨が多くトレイルがぬかるんでいる
  2. 渡渉がある(季節によって程度は異なる)
  3. 夏でも寒い(特に夜)
  4. 蚊が多い
  5. 北極圏にあるため夜でも明るい
  6. 水場は豊富にある
  7. 自炊が原則
  8. 小屋泊でも寝袋が必要

これらの特徴を踏まえて必要となる装備を以下にまとめます。

特徴1:雨が多くトレイルがぬかるんでいる

雨が多くトレイルがぬかるんでいるため、シューズはハイカットが良いです。また、岩稜歩きはなく、比較的平坦な道を長距離を歩くため、柔らかめの歩き易いものがベストです(ただし、ケブネカイセ山の登頂を目指す場合は、アイゼンが必要となるため、それに対応出来るシューズが必要となります)。ストックもあったほうが転倒防止につながります。

特徴2:渡渉がある

季節によって程度が異なりますが、渡渉があります。僕らが歩いた8月上旬はシューズを履いたままでも渡ることが可能でしたが、例年7月頃までは水量が多く、膝下まで浸かる渡渉があるようです。そのため、シューズを脱ぎサンダルに履き替えて渡る準備が必要です。水量のある渡渉の場合はストックも必要です。

これくらいの渡渉はたくさんありました。時期によってはもっと水量が多く、その場合はシューズを脱いで渡る必要が出てきます

これくらいの渡渉はたくさんありました。時期によってはもっと水量が多く、その場合はシューズを脱いで渡る必要が出てきます

特徴3:夏でも寒い

日差しが出ている時間帯は暖かいですが、日が沈むと急激に寒くなります。標高が1,000mを超えるチェクチャ小屋では、2〜3℃くらいまで冷え込みました。それに対応出来る防寒着・シュラフなどの準備が必要です。ちなみに、アビスコやキルナも肌寒く、東京の冬のようでした。

特徴4:蚊が多い

場所にもよりますが、蚊(およびコバエ)が多いです。7月が多く、8月以降は少なくなると聞いていましたが、僕らが歩いた8月上旬もそれなりにいました。虫除けだけでなく、モスキートネット(バグネット)も必携です。僕らはストックホルムのアウトドアショップでSEA TO SUMMITのモスキートネット購入しました。

湿地帯が多く、そのような場所には蚊が多くいました

湿地帯が多く、そのような場所には蚊が多くいました

特徴5:夜でも明るい

北極圏に位置するために、夜でもかなり明るいです。ぐっすり眠るためには、アイマスクがあったほうがようでしょう。

特徴6:水場は豊富にある

水場は豊富にあり、困ることはありません。川の水はそのまま飲めるようですが、僕らは念のため浄水していました。小屋の近くで取水する場合、ドリンキングエリアとウォッシングエリアが分かれているので、注意しましょう。

僕らは浄水フィルターとしてソーヤーミニを持って行きました。

水場はいくらでもあります。ただし、山小屋の近くの川を利用する場合は、ドリンキングエリアか、ウォッシングエリアかを確認しましょう

水場はいくらでもあります。ただし、山小屋の近くの川を利用する場合は、ドリンキングエリアか、ウォッシングエリアかを確認しましょう

特徴7:自炊が原則

ケブネカイセ山岳ステーションを除き、山小屋にはレストランは併設されていません。すべての食事を自分たちで用意する必要があります。小屋にキッチン設備がありますが、利用しない場合はストーブの持参が必要です。詳細は「食事と宿泊」の項を参照。

特徴8:小屋泊でも寝袋が必要

スウェーデンの山小屋はベッドがあるのみで、寝具はありません。小屋泊でも各自で寝袋またはシーツを持参する必要があります。

僕らの海外トレッキング&世界一周の装備・持ち物のまとめ記事はこちら

https://trailtravelers.net/world-travel-item/

食事と宿泊

ルート概要に記載した通り、アビスコ〜ニッカルオクタのルート上には約12〜20kmおきに山小屋があります。

宿泊

山小屋にはキッチン設備が併設されており、自炊となります。多くの小屋にはサウナもありました。シーツまたは寝袋の持参が必要です。ベッドが満員となった場合でも、床に寝袋で寝る形となりますが、必ず泊まることができるようです。

山小屋の周りにテントを張ることも可能です。テント料を払うと山小屋の設備(キッチン、サウナ等)を利用することができるようです。ただし、キッチンは、小屋泊利用者で満員となっている場合は利用できませんでした。

トイレは小屋・テントの宿泊者以外でも誰でも使用可能です。トイレチップなどは特にありませんでした。各個室にはトイレットペーパー、手洗い石鹸、消毒用アルコールの備え付けがあります(切れている場合もありましたが)。

アビスコヤーレ小屋のキッチン。ガスコンロが設置されています

アビスコヤーレ小屋のキッチン。ガスコンロが設置されています

食事・売店

アビスコ、ケブネカイセ、ニッカルオクタ以外には食事ができるレストラン・カフェはなく、自炊となります。

売店はチェクチャ小屋とシンギ小屋にはありませんが、それ以外にはありました。パスタやソース、シリアル、お菓子などがあります。ガス缶などもありました。なお、僕らが利用したセルカ小屋、ケブネカイセ山岳ステーションではクレジットカードの利用ができました。

アビスコツーリストステーション駅周辺にはスーパーやATMがありません。宿泊施設であるアビスコツーリストステーションに売店があるが品揃えは限られます。アビスコオストラ駅にはCOOPがあり、そこそこの品揃えがありました。キルナはアビスコと比較すると大きな町で、大きなスーパーがあり、ATMもあります。

アビスコヤーレ小屋の売店。ドライフード、パスタ、缶詰、お菓子、ガス缶など一通りのものが揃います

アビスコヤーレ小屋の売店。ドライフード、パスタ、缶詰、お菓子、ガス缶など一通りのものが揃います

荷物預かり

僕らは、トレッキングに不要な荷物は、トレッキング前日に宿泊したアビスコのゲストハウスで無料で預かってもらいました。

トレッキング前日は、アビスコ・オストラ駅近くのアビスコ・ゲストハウスに宿泊。こちらで荷物を預かってもらいました

トレッキング前日は、アビスコ・オストラ駅近くの「アビスコ・ゲストハウス」に宿泊。こちらで荷物を預かってもらいました

参考にした書籍、サイト

クングスレーデンの山小屋は、STF(Swedish Tourist Association)という団体が運営しており、以下のサイトでクングスレーデンの概要、地図、山小屋の設備(ベッド数、ショップやサウナの有無)などを確認することができます。山小屋の予約もこちらのサイトからできるようです。一部のコンテンツはスウェーデン語のみなのですが、グーグルの自動翻訳で概要は把握可能です。

アビスコ〜ニッカルオクタルートのページ(スウェーデン語)

STF(Swedish Tourist Association)の英語サイト(英語版はコンテンツが限定されています。山小屋の予約などが可能)

まとめ

クングスレーデンの印象は、とにかくスケールがでかい!です。どこまでも続くなだらかなトレイル、遠くまで広がるU字谷の眺め、このような景色を何日もかけて歩いていく壮大さは、クングスレーデンならではです。そして、どんどん景色が変化していくダイナミックさは無いものの、余計なものがないそのシンプルなトレイルは、どこか洗練された北欧インテリアデザインに通じるようにも思えました。

どこでキャンプしても、どこを歩いも良い、自然を自由に楽しむ権利が広く認められている、というスウェーデンのアウトドアカルチャーを味わうことができます。そして、北欧には次のようなことわざがあります。

There’s no such thing as bad weather, only bad clothes.

天気が悪いのではない、服装が悪いのだ

この辺りの天気は崩れやすく、また北極圏に位置するため、晴れていても日本の冬のような寒さの日もあります。自然の厳しさを理解した上で、しっかりと準備をし、自由に自然を楽しむ、それがスウェーデンスタイルなのでしょう。

スケールの大きい自然の中でスウェーデンのアウトドアカルチャーを楽しみたい、クングスレーデンはそんな人にオススメしたいトレイルです。

最後に、実際にクングスレーデンに行ってわかったことをまとめてみました。

https://trailtravelers.net/kungsleden-tips/

 

世界のトレイルを巡る旅の全体概要はこちら

https://trailtravelers.net/worldtravel-route/

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