クングスレーデン、日本語では王様の散歩道と訳された北欧を代表するロングトレイル。散歩道と言う名前からはとても穏やかなトレイルを連想させるが、北極圏に位置するこのトレイルは真夏でも気温が低く、天候も崩れやすいため、しっかりとした装備・準備が求められるトレイルの王様だ。今回はアビスコからニッカルオクタまでの約110キロを7日間かけて歩いた。
本記事では、クングスレーデンでのトレッキングのまとめとして、アクセスと準備、ルートについてレポートします。
(2016年8月時点の情報です)
気候と装備、宿泊と食事についてはこちらにまとめています。
https://trailtravelers.net/kungsleden-summary2/
クングスレーデンとは
クングスレーデンKungsledenとは、スウェーデンの北部、北極圏のラップランドにあるトレッキングコースです。英語ではKing’s Trail、日本語では王様の散歩道と訳されています。
全長は北のアビスコAbiskoから南へ約440Km続きますが、人気なのはアビスコからシンギSingiまで南下して、そこから東へスウェーデン最高峰のケブネカイセKebnekaise山の麓を通ってニッカルオクタNikkaluoktaに出る約110Kmのルート。この距離を通常7日間、早い人であれば4日間で歩きます。アビスコ、ニッカルオクタのどちらからでもスタート出来ます。
ここでは僕らが歩いたアビスコ〜ニッカルオクタ間のトレッキングについてまとめます。
アクセスと準備
登山口はアビスコまたはニッカルオクタになります。
アビスコの登山口の最寄駅はアビスコツーリストステーションAbisko turiststation駅です。アビスコツーリストステーション駅の隣にアビスコオストラAbisko Östra駅がありますが、間違えないようにしましょう(一部の宿泊施設やスーパーマーケットはアビスコオストラ駅にあります)。ストックホルムから電車で、またはストックホルムアーランダ空港からキルナKiruna空港まで飛行機を使い、そこからバスでアクセスするのが一般的のようです。
ニッカルオクタの登山口に行く場合はキルナからバスになります。キルナ空港まで飛行機を使うか、またはストックホルムからキルナまで電車を利用し、そこからバスに乗り換えニッカルオクタまで行くことができます。
僕らはアビスコスタートにしたため、ストックホルム中央駅から夜行列車でアビスコまで移動しました。 ストックホルムからアビスコまで約18時間の長旅です。この列車はスウェーデンからノルウェーのナルヴィクまでを走っています。
スウェーデン国鉄
チケットはスウェーデン国鉄SJのサイトで事前に予約し、乗車前にストックホルム中央駅の自動券売機で発券しました(予約番号を入力すると紙のチケットが印刷される)。券売機の横に有人窓口もありましたが、僕らが乗る時間には既に閉まっていました。
車両には、1等寝台個室(Private 1st class compartment)、3人用寝台個室(Bed in sleeping compartment)、6人用寝台個室(Bunk in couchette)、座席(Seat)があります。6人用寝台個室は男性、女性、ミックスがあります。各タイプの詳細説明や写真はスウェーデン国鉄SJのサイト(予約画面)で確認できます。
僕らは6人用寝台個室のミックスで下段の向かい合わせを選びました。騒音と揺れはそこそこありますが、夜行バスと違い完全に脚を伸ばして横になれるため、それほど疲労感もなくしっかり寝ることができました。
7月8月は早くから予約で埋まるようです。僕らは1ヶ月前に予約を入れましたがギリギリでした。
ニッカルオクタ〜キルナ(〜ナルヴィク)のバス
トレッキング後は、キルナに宿泊したため、ニッカルオクタからキルナまでバスに乗りました。バスはオンシーズンは1日2便、所要時間は1時間程度です。
なお、僕らはキルナに一泊した後、アビスコまで電車で移動してゲストハウスに預けておいた荷物をピックアップし、その後バスでノルウェーのナルヴィクまで移動しました。このバスはキルナとナルヴィクを結んでおり、オンシーズンは1日2便です。
なお、キルナもアビスコも、鉄道駅とバス停は別の場所にあるので注意が必要です。
なおノルウェーではロフォーテン諸島をトレッキングしました。こちらもオススメです。
https://trailtravelers.net/lofoten-summary/
その他の準備事項
クングスレーデンを歩くにあたり、許可証(パーミット等)は必要ありません。
トレッキングルート
僕らが歩いたアビスコからニッカルオクタのルートについて説明します。このルートは全長約110kmで、約12〜20kmおきに山小屋があります。この山小屋を目安に歩くと7日間で踏破することができます。
ルート概要:山小屋ごとの距離と所要時間
- アビスコAbisko 〜 アビスコヤーレAbiskojaure(約15km 所要4〜6時間)
- アビスコヤーレAbiskojaure 〜 アーレスヤーレAlesjaure(約20km 所要6〜8時間)
- アーレスヤーレAlesjaure 〜 チェクチャTjäktja(約13km 所要4〜5時間)
- チェクチャTjäktja 〜 セルカSälka(約12km 所要3〜5時間)
- セルカSälka 〜 シンギSingi(約12km 所要3〜4時間)
- シンギSing 〜 ケブネカイセKebnekaise(約14km 所要4〜6時間)
- ケブネカイセKebnekaise 〜 ニッカルオクタNikkaluokta(約19km 所要5〜7時間)
夏季はアーレスヤーレからビスタスVistas方面に進み、そのままニッカルオクタに抜けるルートや、アーレスヤーレからビスタス・ナロNaloを経由しセルカに合流するルートも通行可能となります。他、ケブネカイセから、スウェーデン最高峰ケブネカイセ山の登頂を目指すルートもあります。
下記にルート設定の考え方をまとめておきます。
どちらをスタート地点にするか?
アビスコから南下するか?ニッカルオクタから北上するか?僕らが感じたメリットをまとめます。
アビスコから南下
- チェクチャ峠を越えた後のセルカ方面の景色が美しい(チェクチャ峠からの眺めはチェクチャ小屋方面よりセルカ小屋方面の方が美しいと感じました)
- 予定より早く進むことができて日程に余裕ができれば、最後にケブネカイセ山への往復などの追加が可能
- 早い段階で、悪天候や体調不良により停滞した場合、アーレスヤーレからビスタス方面に進み、ニッカルオクタに抜けるルートを通れば、距離が短くなりリカバリしやすい(ただし、ビスタスからニッカルオクタまでは山小屋がないので、テント泊が必要)
ニッカルオクタから北上
- 太陽を背にして歩く時間が長くなるため、日焼け防止になり、写真も順光で撮影できる
このようにまとめると、アビスコスタートの方がメリットがあるようにも見えますが、太陽を背にして歩けるニッカルオクタスタートも捨て難いですね。体力的な難易度はどちらも変わらないと思います。ちなみに、フェールラーベンクラシックは、ニッカルオクタスタートです。
何日間で歩くか?予備日は必要か?
ルート概要に示した通り、山小屋を目安に歩くと7日間必要となりますが、途中チェクチャ小屋を飛ばして「アーレスヤーレ〜セルカ(約25km)」を1日で歩く人もいるようです。
テント泊の場合は山小屋の場所は制約にはならないため、より自由に日程を組むことが可能です。フェールラーベンクラシックでは4日間で歩く人が多いようですが、毎日25km前後歩くことになるため、それなりに体力がないとキツイと思います。なお、北極圏に位置するため、明るい時間帯が長く、白夜の時期であれば、夜でも歩くことができます。
クングスレーデンは天候が崩れやすいため、停滞することも考えて予備日を設けておきたいところです。結果的に日程に余裕ができれば小屋からのデイトリップを楽しむのが良いと思います(セルカ小屋では複数のデイトリップルートが紹介されていました)。
トレッキングレポート
僕らがアビスコからニッカルオクタまでを7日間かけて歩いたレポートです。
https://trailtravelers.net/kungsleden-1/
https://trailtravelers.net/kungsleden-2/
https://trailtravelers.net/kungsleden-3/
気候と装備、宿泊と食事、他
クングスレーデントレッキングの気候と装備、宿泊と食事、参考にしたサイトについてはこちらにまとめています。
https://trailtravelers.net/kungsleden-summary2/
その他、クングスレーデンに実際に行ってわかったことについてはこちらにまとめています。
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