クングスレーデン、日本語では王様の散歩道と訳された北欧を代表するロングトレイル。散歩道と言う名前からはとても穏やかなトレイルを連想させるが、北極圏に位置するこのトレイルは真夏でも気温が低く、天候も崩れやすいため、しっかりとした装備・準備が求められるトレイルの王様だ。今回はアビスコからニッカルオクタまでの約110キロを7日間かけて歩いた。
本記事では、初日・二日目のレポートをお伝えします。
(トレッキング実施日:2016年8月3日、4日)
Day 1 概要 アビスコ〜アビスコヤーレ
- スタート地点: アビスコ Abisko
- ゴール地点: アビスコヤーレAbiskojaureから2,3キロ先の地点
- 12時00分出発 18時50分到着
- 行動時間: 6時間50分(休憩込み)
- 距離: 約17km
夜行列車でスタート地点のアビスコまで
スウェーデン・ストックホルムに入った僕らは、クングスレーデンのスタート地点であるアビスコまで夜行列車で移動した。夜行列車が出発するストックホルム駅のホームは、70〜80リットルはあろうかと思うようなバックパックを背負った人で溢れかえっており、その重装備と人々から発する熱気からこれまで歩いてきたトレイルとの違いを感じさせた。
列車は定刻より少し遅れて発車。アビスコには翌日の夕方に到着し、その日はアビスコに一泊。その翌日から歩き始めた。
僕らだけの静かなスタート
心配していた天気もまずますの様子で、薄日が射すなか、気持ち良く歩き始めることができた。同じ夜行列車に溢れんばかりのハイカーが乗車していたはずだが、既に出発してしまったのか、僕らだけの静かなスタートとなった。
木々に囲まれた平坦な道が続いている。トレッキングに出発するというよりも、少し大きな公園を歩き始めるような気分だ。足元には小さな葉の植物が生い茂り、そこからきのこが顔を出している。これまで歩いてきたヨーロッパアルプスとは違った可愛らしい雰囲気に心が躍った!
足元はぬかるんでいる場所が多く、湿地帯も多い。湿地帯には木道が整備されているが、場所によっては浸水している場合もあるので、気をつけながら進む。
アビスコヤーレ小屋へ
少し進むと右手に川が見えてきた。今日はこの川に沿ってアビスコヤレーレ小屋近辺まで進む予定だ。アップダウンの少ないトレイルを進んでいくと、遠くに山が見えてくる。山裾が大きく広がる穏やかな雰囲気の山々だ。
17時過ぎにアビスコヤーレ小屋に到着。ここにキャンプを張ることも可能だが、まだ明るいため、トイレを済ませもう少しだけ先に進むことにした。スウェーデンでは国立公園を除けば、原則どこでもキャンプを行うことが可能。この辺りはまだアビスコ国立公園内であり、指定場所以外はキャンプを行うことができない。
トレイルから少し離れた静かな場所で野営
アビスコヤーレ小屋を出てから1時間弱、アビスコ国立公園の境界線であろう金網と看板がある場所を抜けると、キャンプ適地と思われる場所をいくつか確認。すでに何組かのテントが設営されている。水場となる川から適度に近く、トレイルからも少し外れた静かなスペースがあったため、そこを今日のキャンプ地とすることとした(少し離れたところに簡易トイレもあった)。
時間は19時近くとなっていたが、まだあたりは明るかった。この辺りは北極圏。8月上旬のため白夜とまでは行かなかったが、22時頃にようやく日が沈み、夜中も真っ暗になることはなかった。
Day 2 概要 アビスコヤーレ〜アーレスヤーレ
- スタート地点: アビスコヤーレAbiskojaureから2,3キロ先の地点
- ゴール地点: アーレスヤーレAlesjaure
- 11時20分出発 19時30分到着
- 行動時間: 8時間10分(休憩込み)
- 距離: 約17km
絶景を眺め今日も歩き始める
今日の目的地はアーレスヤーレ小屋近辺。ここからおよそ17キロの距離だ。天気は快晴。
まずは橋を渡る。川の向こう側もキャンプ適地らしく、まだのんびりとテントを撤収する人たちが残っていた。川の手前側よりこちらの方が高台にあるため、水場からは少し遠いものの眺望は良い。振り返ると昨日歩いてきたアビスコヤーレ方面の絶景が広がっていた!
遠くどこまも広がる広大な景色
ここからはしばらく緩やかな登り坂。少しずつ標高が上がっているためか、周りはハイマツのような背丈の低い植物に変わった。1時間半ほど歩き続けると登り坂が終わり、遠くの景色まで見渡せるようになってくる。左手には湖とその後ろには雪が残る山々。どっしりと広がる大パノラマの風景で、雲だけがゆっくりと動いていく。
僕らだけが歩く贅沢な時間
その後は、ほぼ平坦な道を進む。左手には引き続き大きな湖が広がり、右手には途中、この辺りの原住民であるサーミ人の集落と思われる建物が見えたりした。時折他のトレッカーとすれ違うが、人数は多くない。広大な景色に前も後ろも僕らだけ、という時間が長く続く。今まで歩いてきたどのトレイルとも違う世界がどこまでも広がっていた。
鮮やかな虹を眺め、今日のキャンプ地に
18時半過ぎ、今度は左手の湖の対岸に集落が見てきた。向こう側は雨が降っているようだった。晴れているこちら側から太陽の光が差し込み、見たことのないような鮮やかな虹が出ていた。そこから少し進むと、本日の目的地アーレスヤーレ小屋だ。今日も小屋周辺ではなく、少し離れた場所に野営する。一度小屋まで行って明日以降のルートを確認し、そこから少し引き返した場所をキャンプ地とした。
Day1〜2のハイライトと改善点
<ハイライト>
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どこまでも続く広大な景色が目の前に広がった瞬間
二日目はしばらく登り坂。緩やかなため、なかなか終わりが見えなかったが、それを越えた時に広がるどこまでの続く広大な景色がすばらしかった
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鮮やかなダブルレインボー
アーレスヤーレ小屋手前で対岸に現れた虹は、夕日の傾きとともに次第に鮮やかになり、最後にはダブルの虹となった
<改善点>
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アルコールストーブの燃料間違い
アルコールのつもりで購入した燃料が、実は着火用燃料だった!この燃料だけではうまく燃焼せず、悪戦苦闘。料理を作るまでに毎日かなりの時間がかかってしまった。
三日目・四日目のレポートはこちら
https://trailtravelers.net/kungsleden-2/
五日目〜七日目のレポートはこちら
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