レソト王国。四方を南アフリカ共和国に囲まれた珍しい国で、ほとんどが山と丘からなる山岳王国だ。全土の標高が1,500m以上にあり、そのロケーションから天空の王国と称される。南アフリカとレソトの国境サニパスを訪れた僕らは、ジャイアンツカップトレイルから毎日眺めていたドラケンスバーグ山脈の断崖の上を、日帰りトレッキングで楽しんだ。
本記事では、サニパスでのトレッキングのまとめとして、ルート、準備とアクセス、気候と装備、食事と宿泊についてまとめました。
(2016年10月時点の情報です)
サニパスとは
南アフリカのドラゲンスバーグ山脈からレソト東部に抜ける峠のひとつ。山の上にあるレソト側は標高2,800mを越え、南アフリカ方面に向けて標高差1,000mを越える断崖が眼下に広がります。僕らはレソト側のサニパス周辺を日帰りトレッキングで楽しみました。
トレッキングルート
サニパスからのトレッキングは、南部アフリカ最高峰3,482mのタバナントレニャ山や、南アフリカとの国境沿いの断崖に立つホジソンズピーク3,251mが一般的のようです。いずれもサニパスのレソト国境そばにあるサニマウンテンロッジから日帰りで歩くことが可能です。
ホジソンズピークは、サニマウンテンロッジから断崖に沿って南西方向、タバナントレニャ山はサニマウンテンロッジから北方向にあります。
サニマウンテンロッジでは、ガイド付のトレッキングツアーの案内がありました。またホーストレッキング(ポニートレッキング)もできるようです。この辺りは明確なトレイル(踏み跡)が無く、地図も販売していませんでした。ホジソンズピークは断崖沿いを歩いていくためガイドなしでも比較的迷いにくいですが、タバナントレニャ山は内陸部を歩くため、ガイドが必要になるかと思います。
ホジソンズピーク方面に歩いたトレッキングレポートはこちら
https://trailtravelers.net/lesotho-sanipass/
アクセスと準備
僕らは南アフリカ側から国境を越えレソトに入り、その後はレソト国内を、モコトロン、さらに首都のマセルへと移動しました。
南アフリカから
僕らはローカルの乗り合いバスを利用しました。宿泊していたサニロッジバックパッカーズからレソト方向に車道を3km程度進んだところに乗り合いバスの待ち合わせ場所があります。アンダーバーグ方面から来る乗り合いバスとレソト方面から来る乗り合いバスの乗り継ぎ場所になっています。バス料金もここで支払います。それぞれのバスは客を交換して、アンダーバーグ、レソトにそれぞれ戻っていきます。人数が集まり次第出発の乗り合いバスなので時刻表はありませんが、サニロッジの宿で聞くとだいたい朝10時ごろにバスが出るのではという話だったので、余裕を見て8時前から待ちました。一日1~2本あるようです。僕らが行った日は、レソトから下りてきたバスが8時頃に到着し、アンダーバーグからのバスを10時頃まで待って、レソトに向け出発しました。南アフリカ側の国境で出国手続きし、2時間ほどかけてサニパスの断崖絶壁を登り、山の上のレソト側の国境で入国手続きをします。レソトのバスはそのままモコトロンまで行くそうですが、僕らはレソトに入国したところで途中下車しました。
ローカルバスは本数が少なく利便性が悪いため、南アフリカ側から日帰りツアーで訪れるのが人気のようです(レソト側まで車で上り、ホジソンズピークまで日帰りトレッキングをして、その日のうちに南アフリカ側の宿に戻るツアー)。僕らがバス待ちをしている間、ツアー客を乗せた四駆の車が何台も走り過ぎていきました。
また、サニマウンテンロッジやサニトップバックパッカーズに宿泊する場合は、宿から送迎を手配することもできます(有料)。個人で自家用車やレンタカーで行く人もいるようです。途中から傾斜のある未舗装路になるため、四駆の車である必要があります。またそれを目当てにヒッチハイクするという方法もあります(サニロッジバックパッカーズのドミトリーで同じ部屋だったスイス人青年はヒッチハイクを頑張っていました)。
(参考)南アフリカ マロティ・ドラケンスバーグ国立公園でのトレッキング記事はこちら
https://trailtravelers.net/south-africa-giants-cup-trail-summary/
レソト国内へ
サニパスから車で2時間程度のところにあるモコトロンが一番近くの大きな街になります。僕らが南アフリカ側からサニパスを登ってくるのに利用した乗り合いバスがモコトロンまで走っています。僕らは当初そのバスに乗る予定でしたが、道路で待っているとそばの商店のおじさんから声がかかり、乗り合いバスと同じ料金で今すぐ乗せてくれるというので、そちらを利用しました。
サニマウンテンの宿の人の話によると、レソト国境で待っていると普段は昼の12時ぐらいにバスが登ってくるということでしたが、日曜日は乗る人が少なくバスが来ないかもしれないので、バスを待ちながらヒッチハイクもしたほうがいい、とのことでした。ヒッチハイクの長期戦も覚悟していましたが、結局タクシーが見つかったので良かったです。
(参考)レソト セモンコンでのポニー・トレッキングの記事はこちら
https://trailtravelers.net/lesotho-semonkong-summary/
気候と装備
レソトは全土が温暖湿潤気候または西岸海洋性気候であり、イタリア北部に似ているそうです。雨季は存在しないものの、10月から4月の夏季に雨が多く、冬季は乾燥し高山では降雪があります。サニパス周辺は、木がなく風の強い荒野で、冬は寒さが厳しく一面雪に覆われることもあるそうです。トレッキングのベストシーズンは10月から4月でしょう。
僕らの滞在期間中は、雲が湧いて急に大雨や霰・雹になることもありました。10月下旬でしたが朝晩は冷え込みました。しっかりした防寒対策が必要です。
僕らの海外トレッキング&世界一周の装備・持ち物のまとめ記事はこちら
https://trailtravelers.net/world-travel-item/
食事と宿泊
サニパス周辺にはサニマウンテンロッジとサニトップバックパッカーズ&キャンプサイトがあります。どちらも同じところが経営しているようで、マウンテンロッジの受付でバックパッカーズのチェックインをします。予約サイトも共通です。
サニマウンテンロッジは幅広い旅行者向けに整備された綺麗な宿で、レストラン、およびアフリカで一番標高の高い場所にあるというバーが併設されています。レストラン、バー周辺でwifiが使えます。
バックパッカーズは格安旅行者向けで、ロッジから少し離れたところにあり、ドミトリーと大きなキッチン、共有リビング、シャワー、トイレ等があります。僕らはここに宿泊しました。またキャンプをすることもできます。
バックパッカーズの建物の近くに地元の人も利用する売店があります。パスタや缶詰、ちょっとした野菜などが購入できますが、品ぞろえは限られているので、自炊する場合もある程度は食糧を持ち込んだほうがよいでしょう。
費用
(参考) 1L(ロティ)=約7.5円 ※2016年10月レート、レソトロティと南アフリカランドのレートは1対1で連動している
- 南アフリカ側からレソト側のサニパスまでのバス 1人110L
(サニパスで途中下車しなければモコトロンまでこの金額で移動可能) - サニトップバックパッカーズ(ドミトリー) 1人250L
- サニパスからモコトロンまでのタクシー 1人100L
参考にした情報
サニロッジバックパッカーズ
南アフリカ側のサニパス国境近くにあるサニロッジバックパッカーズのサイトです。僕らはサニパスに行く前、南アフリカ側で宿泊していました。周辺情報の記載が充実しており、サニパスのツアー情報なども載っています。
サニマウンテンロッジ・サニトップバックパッカーズ
レソト側のサニパス国境近くにあるサニマウンテンロッジのサイトです。レソト入国後に宿泊していました。ホームページの記載はあまりありませんが、メールで問い合わせると行き方などいろいろ教えてくれました。
まとめ
サニパスは人気の観光スポットになっており、南アフリカ側からツアーで訪れている人が多いようでした。僕らはサニパスを訪れた後、レソト国内を抜けるため、乗り合いバスでアクセスしましたが、そうでなければツアーで訪れる方が便利だと思います。日帰りツアーから複数日レソト国内を周遊するものまであるようでした。
サニパスからの景色は、今でも脳裏に焼き付いて離れません。僕らは強風のため断念しましたが、ホジソンズピークからの景色も見てみたかったなと少し心残りです。
サニマウンテンロッジからもサニパスの力強い景色を眺めることができますが、サニパスを訪れた際は、30分でも1時間でも良いので近くを歩いてみることをお勧めします。ただし、強風と天候の変化にはくれぐれもご注意ください。
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レソト・サニパスでのトレッキングって実際どうなの?と気になることがあれば、コメント欄にメッセージいただければ、今回のトレッキングの実体験をもとに、わかる範囲でお答えします!
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