ヨーロッパアルプス、モンブラン山群の周りをフランス、イタリア、スイスの3ヵ国にまたがる形で全長160〜170kmのトレッキングコースが整備されている。これがツール・ド・モンブラン(TMB)だ。トレイルランニングの大会UTMBでも有名なこのトレイルは僕らにとっても憧れの場所。今回は部分的ではあるが6日間かけてTMBを歩いた。
本記事では、スイス部分を歩いた5日目と6日目のトレッキングレポートをお伝えします。
(トレッキング実施日:2016年7月20日、21日)
目次
Day 5 概要
- スタート地点 アルヌーヴァ Arnuva
- ゴール地点 ラ・フーリ La Fouly
- 9:45出発 17:45到着
- 行動時間 約8時間00分(うち休憩約2時間半)※標準コースタイムは約4時間25分
- 距離 約7km
スイスとの国境に向けて出発
今日は峠を越えていよいよスイスに入る。再びキャンプ用具一式を背負ってのトレッキングだ。
キャンプサイトからはバスでフェレ谷の終点であるアルヌーヴァArnuva(1,700m)まで移動。ここが今日のスタート地点だ。昨日に引き続き反時計まわりに進む。
まずは、峠の手前のエレナ小屋Rifugio Elena(2,066m)を目指す。谷底の未舗装路を進むこともできるが、僕らは展望の良い登山道を選択。
左下に見える未舗装路を進むことも可能だが、眺望の良い登山道を進んだ
あの山の向こうはスイス。峠越えは右側の山を抜けていくことになる
まずはエレナ小屋を目指す
今日も引き続き快晴で、青空のもと、モンブラン山群と、一面に咲く花や放牧されている牛を眺めながら歩く。1時間20分ほどでエレナ小屋に到着。ここはモンブラン山群との距離が近く、険しい山と氷河が迫る景色は迫力があった(早めの小ランチも兼ねて約1時間休憩)。
峠へのきつい登りも振り返れば絶景
エレナ小屋からは、大フェレ峠Grand Col Ferret(2,537m)まで約500m登り続ける。きつい登りとなるが、アルプが広がり展望は良い。時々振り返り、遠くまで伸びるフェレ谷を眺めながら歩く。
この峠に向けた登りからのフェレ谷の眺望は素晴らしく、特に印象に残っている。
約500mの登り。一面に黄色い花が咲く
せっせと登る。背後にはフェレ谷が遠くまで広がる絶景。何度も振り返りながら登った
国境を越えると景色は一変
エレナ小屋から約2時間でようやく大フェレ峠に到着。スイスとの国境だ。ここからはイタリアとスイスを360度の眺望で見渡すことができる。ここで40分ほどのランチ休憩を取りイタリアに別れを告げる。
峠を越えると景色は一変する。スイス側は峠の北斜面ということもありところどころに雪渓があった。ひとつひとつの山は大きいが全体的に緩やかな斜面が続いていた。
スイス側はのどかなトレイル。この辺りはマウンテンバイクで進む人もちらほら
絶品ミルクシェイク
峠から1時間半ほどで、ラ・プール小屋La Peuleに到着。ここで飲んだミルクシェイクが絶品だった。ここでは、すぐそばで放牧している牛の搾りたての牛乳を使ったミルクシェイクを飲むことができるのだ!(ここでは50分ほど休憩)
ラ・プールからもう少しだけ下り、川を渡ると舗装された道となる。川沿いをしばらく進むとフェレFerreに到着する。小さな集落だ。
先に見えるのがラ・プーリ小屋
今日はラ・フーリーのキャンプサイトまで
この先は展望の無い谷底歩きということで、バスを利用してシャンペChampexまで一気にショートカットするつもりだったが、スイスフランを持っていないことから、今日はフェレから少し進んだラ・フーリLa Fouly まで歩き、そこでお金を下ろしてキャンプサイトに宿泊することにした(なお、後で知ったがこのあたりはユーロでの支払も可能だった)。
しばらく道路を歩いていると一台の車が止まり、ラ・フーリまで乗せて行ってくれるとのこと。なんて親切なスイス!もちろんお言葉に甘え乗車!
ラ・フーリのスーパーで食材を調達し、近くのキャンプサイトCamping des Glaciers に着く頃には空には雲が広がっていた。明日からは雨の予報だ。
フェレからラ・フーリまでは20分ほどの距離。TMB本道はトレイルだが、僕らはアスファルトの道を進んだ。そのおかげかこの直後、車に乗ることができた。
ラ・フーリのキャンプサイト。徐々に曇天となってきた
Day 6 概要
(交通機関による移動とシャンペ湖周辺の散策のみのため割愛)
ラ・フーリからシャンペまでバスで移動
今日以降は数日間天気が崩れるとの予報から、今日は無理に歩くことはせず、シャンペの村を訪れた上で、シャモニーまで戻ることにした。
ラ・フーリからシャンペまではバスで移動可能だが、直通は無く、一度オルシエールOrsiéresまで出て乗り換える必要がある。時刻表を細かく確認していなかったため、乗り継ぎが悪く、シャンペに着くまでに結構時間を要してしまった。
なお、この辺りのTMBルートは、谷底で眺望が得られないため、バスでのショートカットがよく行われる。朝早くと夕方のバスの乗り継ぎはうまく接続しているようだった。
ラ・フーリから乗車したオルシエール行きのバス
落ち着いたレイクリゾート
シャンペは湖畔の街。スイス側TMBのルート上の町としては一番大きな街ではあるものの、フランス・シャモニーや、イタリア・クールマイユールと比較するとかなり規模は小さい。スイスらしい木造の家が建ち並ぶ、落ち着いたレイクリゾートという感じだ。
シャンペ湖の周りをゆっくと一周し、再びバスでオルシエールに戻り、そこから電車を乗り継ぎ、フランス・シャモニーに戻った。
僕らのTMBは以上で終了だ。
落ち着いた雰囲気のシャンペ。湖水浴やパドルサーフィンなど、人それぞれの楽しみ方をしていた
今日はシャンペ湖周辺の散策のみだが、達成感いっぱいの二人、笑
TMB Day5〜6のハイライトと改善点
<ハイライト>
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トレッキングで越える国境線!
自らの足で苦労して越える国境は感慨深い。道標以外に国境線を示すものはなかったが、景色の違いをじっくり味わうなど、思い出に残る出来事になった。
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峠から広がるイタリア・フェレ谷の景色!
登れば登るほど奥に広がるイタリア・フェレ谷の景色。最後に峠から眺める谷の全景は本当に素晴らしい。
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スイスミルクのクオリティ!
スイスもご当地グルメは外せない。搾りたての牛乳がこんなに美味しいなんて知らなかった。
<改善点>
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休憩は時間をしっかり区切る
5日目は途中にエレナ小屋、大フェレ峠、ラ・プーリ小屋があり、絶景とこれまでの疲れが相まって、それぞれ気づいたら長い休憩となってしまっていた・・・合計すると2時間半!!
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バスの時刻・接続は事前にしっかり確認
ラ・フーリからシャンペのバスの乗り継ぎが悪く、乗り換えで1時間半ほど待たされてしまう。シャモニーやクールマイユール周辺と比較するとシャンペ周辺はバスの本数が思いのほか少なかった・・・
歩き終えて
世界のトレイルを巡る旅を企画した際に、真っ先に目的地に挙がったのが、ヨーロッパアルプス・モンブランだ。
モンブランからマッターホルンのあるスイス・ツェルマットまでを歩くオートルートを歩くことも考えていたが、トレイルランニングも愛好する僕らとしてはトレイルランニングの大会UTMBで馴染みの深いモンブラン山群を一周するTMBを歩くことにした。
今回は、天候に恵まれたこともあり期待通り迫力あるモンブランを眺めることができた。フランス、イタリア、スイス各国のTMBを歩くこともでき、その違いを感じることもできた。キャンプ用具一式を調達したことで、野営やキャンプサイトでの生活も新鮮だった。
ぐるりと一周した訳ではないので、まだ知らぬ絶景と、一周することで得られる達成感には出会えていないが、総じて満足度の高いトレッキングになった。
次に来る時はトレイルランニングの大会UTMBの参加者として、このトレイルを楽しんでみたい!!
TMBフランス編、TMBイタリア編のレポートはこちら
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