ヨーロッパアルプス、モンブラン山群の周りをフランス、イタリア、スイスの3ヵ国にまたがる形で全長160〜170kmのトレッキングコースが整備されている。これがツール・ド・モンブラン(TMB)だ。トレイルランニングの大会UTMBでも有名なこのトレイルは僕らにとっても憧れの場所。今回は部分的ではあるが6日間かけてTMBを歩いた。
本記事では、イタリア部分を歩いた3日目と4日目のトレッキングレポートをお伝えします。
(トレッキング実施日:2016年7月18日、19日)
目次
Day 3 概要
スタート地点 メゾン・ヴィエイユ小屋 Rif. Maison Vieillle
ゴール地点 コンバル湿原 Lago Combal
12:40出発 17:00到着 ※キャンプサイトまでは更に1時間20分歩いた
行動時間 約4時間20分(休憩込み)※標準コースタイムは約2時間30分
距離 約7km
予定を変更しイタリア側へ
昨日予定外にシャモニーに戻って来てしまったため、今後の予定も大きく見直すことにした。
もともと6日間かけてTMBの南側半分(フランスからイタリアまで)を通しで歩く予定だったが、この2日間でフランス側からのモンブラン山群の眺めは充分に堪能できたこと(もちろんまだ見ぬ美しい景色がたくさんあることは承知)、イタリア側の好展望トレイルを歩く頃には天気が崩れる予報となっていたことから、予定を変更し、早めにイタリア側のTMBと予定していなかったスイス側のTMBを部分的に歩いてみようということになった。
今日はモンブラン・トンネルを使いフランス・シャモニーからイタリア・クールマイユールCourmayeurまで一気にバス移動。クールマイユールの街から、今度は時計回りにイタリア南側のヴェニ谷Val Venyを歩く。時計の針に例えると4時から5時のあたりだろう。
(シャモニー8時半発のバスに乗り、クールマイユールには1時間少々で到着。バスを降りたところにインフォメーションがあり、イタリア側TMBの情報収集も行うことができた)
クールマイユールの案内板。バリエーションルートを含めTMBマークがついたトレイルがたくさん
イタリア側南部のヴェニ谷を歩く
今日はキツイ登りはケーブルカー・リフトを使ってショートカット(ドローネDoloneからケーブルカーに乗車、途中でリフトに乗り継ぐ)。クールマイユールの南側シェクルイ峠Colle Chécrouitにあるメーゾン・ヴィエイユ小屋Rif. Maison Vieillle(1,952m)が今日のスタート地点だ(クールマイユールのインフォメーションで情報収集とルート確認をしていたこともあり、トレッキングスタートは12時40分頃)。
昨日までとは反対側の右手にモンブラン山群を眺めながら歩き始める。イタリア側だからなのか、週末が過ぎたせいなのか、歩いている人が格段に減った。特に身軽なハイカーがいなくなり、すれ違う人は大体TMBを歩いていそうなしっかりした装備の人となった。
今日はケーブルカーとリフトを乗り継いで標高を稼ぐ。眼下に見えるのがクールマイユールの街
今日のスタート地点メーゾン・ヴィエイユ小屋。フランス・シャモニー側の小屋とは異なり、牧歌的な雰囲気が感じられる小屋だ
岩稜むき出しのモンテ・ビアンコは荒々しく力強い
イタリア側から眺めるモンブラン(イタリアではモンテ・ビアンコと呼ぶ)の南壁は岩稜がむき出しで、両脇に氷河を抱え、荒々しく力強い姿だ。
今日のトレイルは歩くに連れ、徐々にモンテ・ビアンコとの距離が近くなり、その迫力が増してくる。大きく巻くように歩いているため、見える角度も少しずつ変化し、見え方の変化も面白い。
緩やかに登り続けるトレイルだが、モンブラン山群の見え方の変化だけでなく、途中いくつものお花畑があったり、モンブラン山群を写し込むシェクルイ湖Lago Chécrouitがあったりと、変化に富んだトレイルだ。
2時間ほど歩いた眺望の良い地点で40分ほどのランチ休憩を挟んだ。
美しいヴェニ谷とイタリア側最大のミアージュ氷河
今日のトラバース道の最高到達点は2,430m。ここまで来ると、イタリア側最大のミアージュ氷河Glaciers du Miageが大きく迫り、振り返れば遠くまで伸びるヴェニ谷が見渡せる。
ここからはミアージュ氷河とモンテ・ビアンコを正面に、小さな沢沿いのトレイルを下っていく。ここもたくさんの花が咲く美しい場所だった。
広い湿地帯のコンバル湿原で時間切れ
下りきると、コンバル湿原Lago Combalという広い湿地帯に着く。
今日は、コンバル湿原の先にあるエリザベッタ小屋Rif. Elisabetta Soldni(2,197m)を目的地として考えていたが、この時点ですでに17時を回っていたこと、エリザベッタ小屋周辺で野営可能かどうかが充分に確認出来ていなかったことから、これ以上先に進むことを止め、代替の宿泊地として考えていたヴェニ谷にあるキャンプサイトへ向かうことにした(イタリア側は標高2,500m以下は原則野営禁止)。
コンバル湿原からはアスファルトの道をクールマイユール方面に歩き、キャンプサイトHobo camping Val Veny Cuignonに到着(思ったより遠く1時間20分ほどかかった・・)。広いスペースの開放感のあるキャンプサイトだった。今日はここで宿泊。
下りきるとコンバル湿原という広い湿地帯にたどり着く
コンバル湿原で今日のゴール写真の撮影。正面の山は緑に包まれハワイの山のように思えた
ヴェニ谷のキャンプサイトHobo camping Val Veny Cuignon
Day 4 概要
スタート地点 ベルトーネ小屋入口 Rif. Bertone Bivio
ゴール地点 ボナッティ小屋 Rif. Bobatti
13:00出発 17:00到着
行動時間 約4時間00分(休憩込み)※標準コースタイム未確認
距離 約6.5km
イタリア側北部のフェレ谷へ
今日はイタリア側北部のフェレ谷Val Ferretのトラバース道をスイス方面に向かって歩く。再び反時計回りに歩く形となる。時計の針に例えると4時から3時に向けて歩くようなイメージだ。
イタリア側南部ヴェニ谷のキャンプサイトからバスでクールマイユールまで引き返し、そこから別のバスに乗り継ぎ、フェレ谷方面へ移動。
これまではキャンプ用具一式を背負って歩いていたが、今日はフェレ谷にあるキャンプサイトCamping Grandes Jorassesに先に行き、荷物を置いてからのトレッキング。今日のルートはイタリア側TMBの中でも展望が良いルートと聞き、身も心も弾んでいた!
フェレ谷にあるキャンプサイトCamping Grandes Jorasses。今日は先にキャンプサイトに行って、荷物を置いてからトレッキング開始
イタリア側TMB屈指の好展望トレイル
スタート地点はベルトーネ小屋入口Rif. Bertone Bivioの登山口。キャンプサイトのすぐ側だ。13時と少し遅いスタートとなった。
川を渡り、牧道を登って行く。少し行くと左に今日の目的地ボナッティ小屋Rif. Bobatti方面への分岐があるが、こちらには進まずそのまま牧道を進み、ルゥシェイLeucheyでTMBのルートに合流(ここまでで約1時間10分)。ここで左折してボナッティ小屋方面に進む。少し遠回りになるが、ルゥシェイからのトラバース道の展望が素晴らしいと聞いて、このルートを歩くことにした。
ちなみに、今日のルートはTMBだけではなく、トルデジアンTor Des Geants(総距離約330Kmにも及ぶイタリアのトレイルランニングの大会)のルートでもある!
今日はグランド・ジョラスを眺めながら歩く
ここからは2,000mほどのほぼ平坦なトラバース道で、今日は左手にグランド・ジョラスGrandes Jorasses (4,203m)を眺めながら歩く。そして足元は今日も一面お花畑。
今日は荷物が軽いため、順調に進む。
途中、小さな橋が架かる川を越えたところでランチ休憩。ここは正面にグランド・ジョラスが鎮座し、左奥には遠くモンブランも眺められる絶景ポイントだ。(ルゥシェイからここまで約1時間半。ランチ休憩は50分ほど)
ボナッティ小屋に到着
ランチ休憩を取った場所から30分ほど歩くと、今日の目的地ボナッティ小屋(2,026m)に到着。建物も大変綺麗で、グランド・ジョラスが正面に見える展望の良い小屋だった。
1時間ほど好展望を楽しみ、キャンプサイトへ戻るためのバス時刻に合わせて、ボナッティ小屋入口の登山口まで下りる。30分弱でバス停まで下りることができた。
最後はピッツァで締める
今日のキャンプサイトでは、焼きたてピッツァが食べられるということで、自炊はせず、ビールとピッツァを美味しく頂いた!TMB歩きにも慣れ、満足度の高い1日だった。
キャンプサイトで焼きたてピッツァを食べることができた。卵とアスパラを乗せたマルゲリータ
TMB Day3〜4のハイライトと改善点
<ハイライト>
フランス側モンブランとは違ったモンテ・ビアンコの姿!!
イタリア側は雪が少なく岩稜がむき出しで力強い姿、雪に覆われたフランス側の姿も美しいがこちらも印象的
ハワイを思い出させる緑の山!
コンバル湿原からそびえ立つ山は緑で覆われていて、なんだかハワイ・カウアイ島の山のよう・・・
イタリアピッツアのクオリティ!
やはりご当地グルメは外せない。キャンプサイトでもクオリティ十分の焼きたてピッツァがいただけるなんてさすがイタリア!
<改善点>
TMBフランス編、TMBスイス編のレポートはこちら
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