アンデスの分水嶺 ペルー ワラス サンタクルス谷トレッキング (3)

僕らの旅もいよいよ南米へ。はじめに訪れたのはペルーアンデスの核心部とも言えるブランカ山群サンタクルス谷。5000m級、6000m級の山々がひしめくアンデス山脈の天井のような場所。予想外のハプニングに見舞われながらも3泊4日のトレッキングを行い、アンデスの大自然を堪能した。

本記事ではトレッキング三日目・四日目のレポートをお伝えします。

(トレッキング実施日:2016年11月21日、22日)

目次

Day3概要 タウジパンパ〜パリア

  • スタート地点 タウジパンパ Taullipampa 4,250m
  • ゴール地点 パリア Paria 3,800m
  • 7時40分出発 17時15分到着
  • 行動時間 約8時間(休憩除く)
  • 距離 14.5km

峠越えの厳しい1日

今日は標高4,750mのウニオン峠Punta Unionを越え、その先にあるパリアのキャンプサイトまで進む。500mほど登って900mほど下る厳しい1日。

峠へはスイッチバックのトレイルが続く。初日は遠くにポツンと見えていたタウジラフが目の前に迫り、振り返れば昨日歩いてきたサンタクルスのV字谷が遠くまで伸びる!

峠越えはいつも苦しいが、その苦しさに以上の美しさを僕らにプレゼントしてくれる。

そして雨季が近いにも関わらず今日も抜群の快晴。荷物のロストやテントの破損といった出来事は時間とともに良い思い出に変わるけど、天気はずっと写真に残る。だから晴れて本当によかった。そんな話をしながら峠を登り続けた。

今日はタウジラフを正面に見ながらの登り。ツアーで訪れているグループが先を行く

タウジラフがどんどん近づいてくる

振り返るとこれまで歩いてきたサンタクルス谷を遠くまで見渡すことができた

氷河湖を眺めながら

やがて左手に氷河湖が見えてくるようになる。休憩を挟みながらゆっくり登っていく。空気は薄く息が上がるが、高度障害も無く順調に進む。ドンキーが荷物を運んでくれなければもっときつかったんだろう。

世界のトレイルを歩いている僕らだが、体力は人並みで、歩くペースは遅い方だ。標高4,000m以上の高地トレッキングはアンナプルナでも経験しているが、あの時は毎日小屋泊で、テントや大量の食料を持って行く必要はなかった。標高も徐々に上がるため高度障害の心配も少なかった。

今回もしテントも食料も全て自分達で背負って、自力で高所の峠を越えていたらかなり大変だっただろう。当初は自力で歩く予定だったが、テント破損をきっかけにプラン変更ができたのは良かった。トレッキングを始める日が遅れたため、結果として高度順応のための期間も追加で取ることができた。

今日もドンキーは僕らの先を行く

厳しい峠への登りもドンキーのおかげで順調に進む

美しい氷河湖が見えてくる

最高地点ウニオン峠

タウジラフの氷河にぐんと迫って最後のスイッチバックを切り返す。ようやく、標高4,750mのウニオン峠Punta Unionに到着!

アンデス山脈の分水嶺でもある。アンデスに降り注ぐ雨は、ここを境にして二手に分かれ、それぞれ長い旅路の末に太平洋と大西洋に流れ着くのだ。

この峠は直前まで登りが続き、越えるとすぐに急な下りになる。峠には広いスペースが無く、峠に沿って崖が連なっているため、両方向の景色を楽しめるポイントはわずか。そのわずかな眺望スペースを見つけて休憩をとる。峠を吹き抜ける風が心地よく最高の気分だった。

今回のトレッキングのランチはトルティーヤ。ハムとチーズを挟んだり、練乳をつけたりして食べる。トルティーヤは日持ちするし、かさばらない割に腹持ちも良い。お気に入りの山飯になりそうだ。

標高4,750mのウニオン峠へ!

アンデス山脈の分水嶺。左側は太平洋へ、右側はアマゾンを越え大西洋へ流れていく

ウニオン峠からサンタクルス谷方面の景色

分水嶺を越え向こう側へ

ここからパリアのキャンプサイトまで約900mを下っていく。こちら側にもいくつもの湖があるが、氷河湖特有のエメラルドグリーンではなく透き通った湖。まだ雨が少ないのか全体的に水は少なかった。

太陽の影が深い谷を覆い始めた17時過ぎ、パリアのキャンプサイトに到着!

峠を越え、ここからは長い下り

太陽が傾き始め、影が谷を覆い始める

パリアキャンプサイト

Day4概要 パリア〜バケリア

  • スタート地点 パリア Paria 3,800m
  • ゴール地点 バケリア Vaqueria 3,700m
  • 7時10分出発 10時25分到着
  • 行動時間 3時間15分(休憩除く)
  • 距離 約13km

ドンキーと共に

サンタクルス谷トレッキング最終日!今日はバケリアVaqueriaまでの約13キロを歩く。ワラスに夕方までに戻るために、バケリアには11時頃までに到着しておきたい(午後になるとコレクティーボと呼ばれる乗り合いタクシーの数が減るため)。今日はいつもより少し早めに歩き出す。

緩やかな下りが続くため、今日はドンキーとともに歩く。僕らにとっては早歩きに近いペース。まだ陽が差し込まないひんやりとした谷底を進んで行く。

今日はドンキーとともに歩いていく

しばらくは太陽の光が入らず、ひんやりとした谷底歩きが続く

リャマのお出迎え

牛や馬、羊の放牧地を越え、まばゆい太陽の光が入る平原にたどり着く。そこでは数頭のリャマがお出迎え。首から上をこちら側に向け、キョトンとした表情で僕らを眺めている。

ゆっくり近づくと、近づいた分だけ離れていく。少しだけリャマと追いかけっこを楽しむ。

次第に民家と畑が見え始め、のどかなアンデスの山村風景となる。紫色の花を咲かせたジャガイモ畑が印象的だった。

明るい草原にたどり着くとリャマがお出迎え

こちらを見つめるリャマたち

のどかな農村風景へ

最後は苦しい登り返し

小さな集落を抜けると、ゴールのバケリアまでは再び登りとなる。集落内を抜けていくため、この辺りは道迷いしやすく注意が必要だ。

残りの体力を振り絞って、最後の苦しい登りを進み、10時25分ゴールへ到着!

売店でビールを買ってアリエロと3人で乾杯!無事に四日間歩き切ったことを祝った。

最後の登り坂が結構きつかった

ゴールのバケリア。僕らと同じようにトレッキングを終えたハイカーたち

ヤンガヌコ峠を越えワラスへ

ここからワラスの街までは、通常コレクティーボと呼ばれる乗り合いバスを乗り継いで行くのだが、ちょうどここまでトレッキング客を乗せてきたツアー会社のワゴンが来て、ワラスまで乗せてもらえることに。

ここから再び4,700m級のヤンガヌコ峠を越え、今度は車で分水嶺を越えていく。

峠を越えた瞬間、すごい景色が飛び込んでくる。左手にはペルー最高峰のワスカラン、右手にはワンドイ、ピスコなど 5〜6,000m峰が並ぶ。その間は深い谷が広がり、遥か下の氷河湖チナンコチャまで見渡すことができた。

ここからの下りはヘアピンカーブの連続。悪路をものすごいスピードで進むため、何度も体が宙に浮いた。最後は荒い運転にぐったりしながらも、無事ワラスへ戻ることができた。

ヤンガヌコ峠からの眺め

ヘアピンカーブの悪路をものすごいスピードで下っていく。正面の山はペルー最高峰のワスカラン

Day3〜4のハイライトと改善点

<ハイライト>

  • 歩いて越えたウニオン峠
    ウニオン峠はようやくたどり着いたアンデス山脈の分水嶺!
    峠の向こう側に降った雨は月日をかけてアマゾンを越えて、大西洋まで流れていくのだと思うと、峠からの素晴らしい景色以上に、感動するものがあった・・・

  • 車で越えたヤンガヌコ峠
    右へ左へ、すごい景色が目まぐるしく変化する峠道。
    峠は苦しい思いをして自力で歩いて越えるのが一番だと思っていたが、ヤンガヌコ峠だけは例外中の例外!車窓から眺める峠の景色は最高だった!

<改善点>

  • 特になし!

歩き終えて

標高4,750mの峠越え。これほどの標高を何日も歩くのはネパール・アンナプルナ以来。空気の薄さを感じ、強い太陽光線が照らす青白い高峰を眺めながらの山歩きは、どこでも味わえるものではない。アンナプルナとの違いは、毎日がキャンプであること。川から水を汲んでご飯を作り、草原にテントを張って寝る。ここペルー・アンデスの山歩きでは、そのような自然との一体感も楽しむことができた。

テントの破損などハプニングもあったが、世界の屋根を歩く魅力を改めて感じる思い出深いトレッキングとなった。

 

サンタクルス谷トレッキングの初日・二日目のレポートはこちら

https://trailtravelers.net/peru-huaraz-santa-cruz1/

https://trailtravelers.net/peru-huaraz-santa-cruz2/

ルート、準備とアクセス、気候と装備、食事と宿泊等のまとめ記事はこちら

https://trailtravelers.net/peru-huaraz-santa-cruz-summary/

世界のトレイルを巡る旅の全体概要はこちら

https://trailtravelers.net/worldtravel-route/

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