雲を突き抜ける山 ニュージーランド フッカーバレー・ミューラーハット トレッキング (2)

アオラキ/マウントクック国立公園。マオリ語で雲を突き抜ける山を意味するニュージーランド最高峰アオラキ/マウントクックが望める場所で、数時間から半日程度で歩けるウォーキングトラックがいくつか整備されている。僕らはここにキャンプを張り、人気のウォーキングトラックであるフッカーバレートラックや、本格的なアルパインルートであるミューラーハットルートを歩いた。

滞在二日目に歩いたミューラーハットルート(往路)のレポートです。

(トレッキング実施日:2017年1月3日)

目次

Day 2 概要

  • スタート地点 ホワイトホースヒルキャンプ場
  • ゴール地点 ミューラーハット
  • 13時55分出発 17時55分到着(休憩込み) 
  • 行動時間 3時間45分(休憩除く)
  • 距離 約2.5km

ハットチケットを受け取りにビジターセンターへ

朝になっても雨は降り続いていた。テントを設営した場所が悪く、朝起きるとテントの下が水たまりとなっていた。

今日はテントを撤収し、標高1786メートルのミューラーハットへ。昨日のフッカーバレートラックとは違いアルパインルートとなる。天候が悪ければ危険を伴うため、登ることも断念しなければならない。

まずはハットに宿泊するためのチケットをビジターセンターに受け取りに行く。この先、天候の悪化が予想されればハットチケットを受け取ることもできないかもしれない。昨日時点の天気予報ではその確率が高かった。

8時半のオープンと同時に、ミューラーハットを目指すのであろう数名のハイカーがカウンターに列を成していた。どうやらハットチケットを受け取ることは出来そうだ。

レンジャーから装備の確認と歩く上での注意点の説明を受け、ハットチケットを受け取る。ただし登っても恐らくガスで何も見えないだろう、気をつけて行くように、と付け加えられる。

キャンプ場に戻り、午後まで天候の回復を待つ。今日の行程は標準コースタイムで3時間半。急いで出発する必要はない。昼過ぎ、テントを撤収し、お昼ご飯を食べてから出発。

マウントクック村のビジターセンター。ミューラーハットのチケットを受け取りに行く

ホワイトホースヒルキャンプ場から、セアリータンズ&ミューラーハット方面へ。雨は止んで少しずつ空が明るくなり始めた

階段状のセアリーターンズトラック

ミューラーハットルートはひたすら急登だ。永遠と続くスイッチバックの登りよりはましだが、V字谷を形成する山稜をほとんど直登するような感じで登って行く。途中まではセアリーターンズトラックと呼ばれここまでは歩きやすい階段が整備されている。

やがて眼下にはマウントクック村やミューラー湖が広がるようになる。

整備された階段トレイルを登っていく

しばらく登って振り返ると眼下に景色が広がる

ビジターセンターやハーミテージホテルがあるマウントクック村はとても小さくミニチュアのよう

ミューラー湖とその先にはフッカー湖も見えてくる

岩場を進むミューラーハットルート

セアリーターンズから先は、オレンジ色のポールを目印にタソックと言う草が生い茂るトレイルを登って行く。

1,000メートルほどの標高差を僅かの2〜3キロの道のりで登って行くため、トレイルからの景色は面白いように変わって行く。東京タワー3個分登るのだ。

マウントクック村はミニチュアのように小さくなり、やがて航空写真のようなサイズになる。昨日グレー一色に見えたミューラー湖も上から見ると氷河の近くは青く、グレーの部分に向かってグラデーションになっていることがわかる。

景色を構成する要素はさほど変わらないのだが、その変化をここまで楽しめるトレイルを他に知らない。

途中からは残雪が残る岩場を登る。心配した天気もまずまずで稜線に出る頃には、フッカーバレーに大きな虹色の橋が架かった。

セアリーターンズから先はタソックと言う草が生い茂るトレイルを進む

昨日はグレー一色に見えていたミューラー湖は、水色とグレーのグラデーションを形成していた

景色はどんどん小さくなっていく

残雪が残る岩場のトレイルを越え、稜線に出る頃には綺麗な虹がかかった

雪上トレイルを歩きミューラーハットへ

稜線に出てからは谷の反対側に回り、谷に流れ落ちるミューラー氷河を真横に見ながら、雪上のトレイルを歩く。本格的な山岳風景への急激な変化に驚き、ここがサザンアルプスと呼ばれる山岳エリアだったことを思い出す。

色の無い曇天の世界に、一際目立つ赤い小屋が見える。ミューラーハットはたくさんの雪を残す岩稜の上に立っていた。既に定員28名の半分くらいのハイカーが到着し、ハットの中はリラックスしたムードに包まれていた。

谷の反対側に回り、目線の高さにミューラー氷河を眺めながら歩いていく

最後は雪上トレイルを歩いていく

岩場の上に立つ、赤色が印象的なミューラーハット

ミューラーハットの屋内の風景

雲を突き抜ける山、マウントクック

ハットのガスコンロを使って夕食を作り、お茶を飲んでゆっくりしていると、遠くで沸き立つ雲がちぎれ始め、僅かながらマウントクックが顔を出した。アオラキの名の通り、雲を突き抜ける山の姿だった。

薄紅色に染まる夕暮れの空と真っ白なマウントクック。これまでアンナプルナやモンブラン、アルパマヨなど美しい山々を見てきたが、それに並ぶ感動的な光景だった。どういう訳か雪を被った山は美しいのだ。

雲がちぎれはじめ、マウントクックが顔を出した

やがて空は薄桃色に変わっていった

まさに雲を突き抜ける山

ハイライトと改善点

<ハイライト>

  • ミニチュアを見ているような風景
    階段状のトレイルから、草が生い茂るトレイル、岩場のトレイルを越えて標高を上げていと、ものすごい高度感のある景色が広がってくる!
    まるでミニチュアを見ているかに精細な風景に、何度も何度も振り返った・・・

  • 雲間から顔を出したマウントクック
    昨日から曇天で全く見ることができなかったマウントクック。
    ミューラーハットに到着してくつろいでいると、雲がちぎれ始め、遂に顔を出した!!
    雲を突き抜けて現れたその姿は強く美しく、感動的な瞬間だった!

<改善点>

  • 特になし!

ミューラーハットルート(復路)のトレッキングレポートはこちら

https://trailtravelers.net/newzealand-hooker-muller3/

初日に歩いたフッカーバレートラックのトレッキングレポートはこちら

https://trailtravelers.net/newzealand-hooker-muller1/

世界のトレイルを巡る旅の全体概要はこちら

https://trailtravelers.net/worldtravel-route/

 

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