マチュピチュ・ワイナピチュを歩いた僕らは、嵐の大地とも呼ばれる南米大陸南端の地パタゴニアへ。まずはアルゼンチン側のロス・グラシアレス国立公園を訪れた。美しい南極ブナの森、難攻不落の尖塔セロトーレ、クライマー憧れの山フィッツロイを巡る二泊三日のトレッキングを行った。
二日目のトレッキングレポートです。
(トレッキング実施日:2016年12月5日)
Day 2 概要
- スタート地点 デアゴスティーニキャンプ場
- ゴール地点 ポインセノットキャンプ場
- 11時10分出発 17時00分到着(休憩込み)
- 行動時間 5時間10分(休憩除く)
- 距離 約10km
難攻不落の尖塔セロトーレ
朝5時に起き、夜明け前のトーレ湖へ。キャンプ場の裏手の土砂が堆積した丘を越えると、すぐそこに湖があった。湖には氷河から溶け出した氷の塊が浮かび微動だにしない。風もなく全てのものがじっとその場に留まり、夜明けを待っていた。徐々に空は薄桃色に変わり、トーレ湖の向こう側には、尖塔セロトーレが雲間から見え隠れするようになる。
セロトーレの姿はまさに塔で、天に突き刺さるかのようにそびえ立っていた。
ここパタゴニアは嵐の大地とも言われ、晴天の日は少なく、晴れていてもあっという間に天気が崩れ吹雪が舞うような場所だ。塔のように険しい壁にそのようなコンディションが加わり、セロトーレは難攻不落の山として長い間、人間の登攀登頂を拒んできた歴史がある。雲をまとった尖塔を眺めてると、そこにはどんな悪魔が荒れ狂っているのだろうと思わずにはいられなかった。
南極ブナの気持ち良い森を行く
しばらくセロトーレを眺めた後は、キャンプ場に戻り、寝袋に入って冷え凍った体を温める。
今日は、フィッツロイ手前のポインセノットキャンプ場までの約10キロを歩く。一度チャルテン方面に引き返して、途中の分岐からポインセノット方面へ進んで行く。この辺りは南極ブナの原生林が広がっていた。ようやく迎えた春を感じさせる新緑の色と、そこからこぼれ落ちる柔らかな木漏れ日、そして足元には白い花や、黄色のタンポポがたくさん。それは、春の八ヶ岳をハイキングしているような気分だった。
気持ち良い森を越えると、湖が見えてくる。湖岸は黒っぽい石が一面に広がる不思議な湖。ここでランチを兼ねて一休み。
特徴的なシルエットの山塊
ここからは湖沿いを歩いていく。すっかり晴れ間が広がりハイキング日和。セロトーレとフィッツロイをつなぐこのルートは歩いている人も少なく、程よいプライベート感があって好きなトレイルだった。荷物を軽くしてトレランしたらさぞかし気持ち良いだろう。
やがて湖の向こう側にそびえる山の奥に、特徴的なシルエットの山塊が見えてくる。白い雲をまといはっきりとその姿を確認することはできないが、その存在感からすぐにそれがフィッツロイであると想像できた。しばらく歩き続けると、チャルテン方面からフィッツロイを目指すルートと合流する。ここから一気に歩く人が増え、人気のトレッキングルートであることを感じた。
大人の遠足のようなキャンプ場
潅木帯を進み、透き通った川を渡り、再び森に入ると、今日の目的地ポインセノットキャンプ場だ。昨日よりもテントの数が多く、青空のもとでのんびり過ごすハイカーがたくさんいた。僕らはこの少し賑やかな、大人の遠足のようなキャンプ場の雰囲気が好きだ。
このキャンプ場からもフィッツロイを望むことができる。しかし引き続き雲がかかり未だ全容を見ることはできない。
テントを設営し夕食の準備。まだ日が高く明るいうちに食事をとり、あとはコーヒーでも淹れてのんびり過ごす。これが理想的な山キャンプの過ごし方。この日は暖かく、たくさんのハイカーが太陽のもとで昼寝をしていた。僕らも暖かい太陽の下で夕食を食べ、フィッツロイを眺めながらコーヒーを楽しんだ。フィッツロイにかかっていた雲は少しずつ晴れ、やがて完全な姿を見せてくれた。
ハイライトと改善点
<ハイライト>
- 難攻不落の尖塔セロトーレ
夜明けの空に浮かび上がったセロトーレの姿は今まで見てきた山とは全く異なる鋭い山!
湖面が凍るほど冷え込んだ朝だったが、セロトーレの姿を眺めているとたくさんのエネルギーをもらうことができた! -
南極ブナの森を抜けて見えてきた湖
登り基調の南極ブナの森を抜けるとキラキラと輝く湖が見えてきた!
黒っぽい石が敷き詰められた湖畔、深い緑色の木々とグレーの山肌に青い空が広がる風景はため息が出るほど気持ち良く、絶好の休憩ポイントになった! - ポインセノットキャンプ場からのフィッツロイ
まだ明るいうちに食事をとり、コーヒーでも淹れてのんびりとフィッツロイを眺める・・
ポインセノットキャンプ場では理想的な山キャンプの過ごし方ができた!
<改善点>
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ロストレス湖まで行ってもよかったか!?
夕方、雲がかかっていたフィッツロイが顔を出した。隣にテントを張っていた二人組はこれを見て今がチャンスと山の上にあるロストレス湖へ向かって行った。
僕らは翌朝に登る予定にしていたが、明日の天気は約束されていない。晴れたこの瞬間に行動するのもありだったかもしれない!?
初日のトレッキングレポートはこちら
https://trailtravelers.net/patagonia-fizroy1/
三日目のトレッキングレポートはこちら
https://trailtravelers.net/patagonia-fizroy3/
ルート、準備とアクセス、気候と装備、食事と宿泊等のまとめ記事はこちら
https://trailtravelers.net/patagonia-fizroy-summary/
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