オーストラリア オーバーランドトラックに行ってわかった4つのこと

オーストラリア・タスマニア島、世界自然遺産に指定されているタスマニア原生地の最深部を歩く65kmのトレッキングルート・オーバーランドトラック。ボタングラスの草原にユーカリの木々、ゴンドワナ時代からの太古の森、そしてウォンバットやワラビーなどの野生動物、ここは毎日が見知らぬ動植物との出会いの連続。僕らはこの大自然でこの旅最後となる五泊六日のトレッキングを行った。

本記事では、オーバーランドトラックに実際に行ってわかったことをまとめました。

(2017年1月時点の情報です)

目次

その1:固有の動植物が楽しめる

オーバーランドトラックでは、様々なオーストラリアやタスマニア固有の動植物を身近に見ることができます。ユーカリやパンダニ、珍しいブナやマツの仲間が生い茂る森、高山植物の花畑等、標高によって植生が変化します。ワラビーやハリモグラ、ウォンバット、ポッサム等も住んでいるようです。僕らは、ワラビーやその仲間のパディメロンは森の中やハット周辺で、またハリモグラもトレイル上で見かけました。ウォンバットやポッサムはその姿を見ることはできませんでしたが、特徴的な形のフンや足跡はたくさん見かけました。動植物を見つけながら歩くのはオーバーランドトラックの楽しみ方のひとつでしょう。

オーバーランドトラック周辺で見ることができる動植物の情報は、スタート地点であるクレイドルマウンテン国立公園のビジターセンターやトレイル上、ハットにある様々な案内板や、VISITOR GUIDEという冊子等で説明されています。VISITOR GUIDEはパーミットを申請する際に一緒に購入できるInformation Packの中に入っています。トレイルの地図や見どころに加え、動植物の生態やオーバーランドトラックの地形の成立ち等、面白い情報が満載で勉強になりました。

一番遭遇したのはワラビー。運が良ければお腹に赤ちゃんがいるかも

様々な植物を楽しめるのもオーバーランドトラックの魅力

クリスマスベルというタスマニア固有種のリリー

その2:自分のペースで楽しめる

ブッキングシーズン中のオーバーランドトラックは、パーミット制で一日にスタートできる人数が限られており、歩く方向も大きくは北のクレイドルマウンテン国立公園から南のセントクレア湖国立公園への一方通行と決められていますが、それ以外は自由に自分のペースで行程を組むことができます。またパーミット取得時にハットやトレイルの保全等のための費用としてオーバーランドトラックフィーを支払いますが、ハットやキャンプ場の個別の利用料はありません。パーミットを取得し決められた日にトレッキングをスタートさえできれば、後は何日トレイル上にいても、ハットやキャンプ場で何泊しても自由です(現実的には、トレイル上で水以外は補給できないので、食糧や燃料がある限りではありますが)。

一般的にはハットをひとつずつ進み、全体で六泊七日、または僕らが今回歩いたように七日目の行程はフェリーでショートカットして五泊六日で歩くのが多いようですが、サイドトリップも充実しており、ハットも居心地が良いので、あえて停滞してゆっくりするという楽しみ方もありです(ただし、ハットや定められたキャンプ場以外での野営等は禁止)。逆に、ファストパッキングで全行程を二日間や三日間で駆け抜けていく人もいました。

ペリオン平原はオーバーランドトラックの中間地点。ここで連泊してのんびり過ごすのも良いかも

サイドトリップも複数あるので、アクティブにトレッキングしたい人にもおすすめ

その3:六日間も一緒にいればみんな友達

とはいえ、一番多いのは六日間や七日間で歩くパターン。起床時間や出発時間はそれぞれですが、夕方前には同じメンバーが次のハットに顔をそろえ、晩ご飯を食べながら、時には美しい夕日や星空を眺めながら、いろんなバックグラウンドの様々な年代のハイカーが語り合います。六日間も毎日一緒にいれば、だいたいみんな友達になり、最終日は歩き終える達成感も相まって、お互いのこれからの幸福を祈ってハグや握手で別れを惜しみます。ネパールのアンナプルナを歩いたときもそうでしたが、ツアーではなく個人で歩いていても、周りのハイカーとほどよい一体感を楽しめるのは、オーバーランドトラックの特徴のひとつだと思います。

ちなみに、僕らが訪れた時は、周りのハイカーはオーストラリア人が多かったようで、アジア人は僕らだけでした。20~30代ぐらいのカップルや同性の友達同士もしくはソロハイカーと、定年後のカップルが多く、父親と高校生や大学生ぐらいの息子や娘というパターンも何組かいました。

食後は、決まってトランプの時間。カードゲームはハイカー共通の娯楽

その4:タスマニアの大自然の中に深く入っていく体験

無補給での五泊六日は、僕らの今回の旅の中では一番長期間のトレッキングになりました。アンナプルナやジョンミューアトレイルでもっと長期間トレッキングしたこともありますが、その時は、途中で売店やレストラン、シャワーを利用することができました。オーバーランドトラックはその行程中、トレイルとハット以外に人工物を見ることはほぼありません。地元の人が住む村があったり、車道が近くを走っていて車の音が聞こえたりということもありません。タスマニア州の国立公園の公式ホームページ等では、オーバーランドトラックを歩くことは人生を変えるような経験になると表現されていますが、確かにタスマニアの自然の中にどっぷりと浸かれる贅沢な日々は、日常を離れてリフレッシュできる貴重な体験になると思います。

ちなみに、電気も携帯の電波もないオーバーランドトラックでは、もちろんシャワーもありません。世界のトレイルを巡る旅をする中で、良いことか悪いことか、しばらくシャワーができなくても耐えられる強さが身についてきた僕らですが、やはり夏のオーバーランドトラックは晴れていると日差しは強く汗をかくこともしばしばです。周りのハイカーを見ていると、ちょうどいい川を見つけるとみんなこぞって水浴びをしている様子。特に3日目に訪れたペリオンハットの近くにある川は水浴びスポットとして有名らしく、ハットについた人からどんどん川に泳ぎにいっていました。水着を持ってきている人もいましたが、ほとんどは下着のままで入っていきます。川で水浴びを検討されている方は、見せられる下着着用がおすすめです。

整備されたトレイルとハット以外、人工物は何もない。大自然の中を何日も歩き続ける魅力

 

トレッキングレポートはこちら

https://trailtravelers.net/australia-overlandtrack1/

https://trailtravelers.net/australia-overlandtrack2/

https://trailtravelers.net/australia-overlandtrack3/

https://trailtravelers.net/australia-overlandtrack4/

https://trailtravelers.net/australia-overlandtrack5/

トレッキングルート、アクセスと準備、気候と装備、食事と宿泊等のまとめ記事はこちら

https://trailtravelers.net/australia-overlandtrack-summary/

世界のトレイルを巡る旅の全体概要はこちら

https://trailtravelers.net/worldtravel-route/

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは。コロナが終息して、自由に旅ができるようになったら、妹と二人でオーバーランドトラックをトレッキングするのが夢です。お二人のリポートを読んでますます憧れが強くなりました。ただ心配なのは、食料をすべて担いでいくことです。お二人は6日分の食料として、どんなものを持って行かれましたか。そして、それをどんなふうに調理されたのでしょうか。教えていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

    • 手嶋さま、コメントありがとうございます。
      朝食はシリアルが中心で、粉ミルク、バナナなど。
      昼食はパンやトルティーヤなどが中心で日数分、具材としてチーズ、ハム、ジャム、きゅうり・レタスなどの野菜。傷みやすいものから順に消費
      夕食は米、クスクス、ラーメンなど日数分、具材としてゆで卵、鯖缶、ツナ缶、ソーセージなど。
      他に、お菓子やフルーツ、コーヒー・お茶などを持って行きました。
      1食でどれくらいの量が必要かは、事前に試されると良いかと思います。
      早くコロナが終息して旅ができるようになると良いですね。
      良い旅になることを願っております。

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次