バルカン半島にあるモンテネグロは国土の大半が山岳地帯の山国で、世界自然遺産に指定されているドゥルミトル国立公園がある。僕らは、まだ情報の少ないこの場所に惹かれ、トレッキングにやってきた。ここは氷河期に形成された起伏に富んだ地形に、多様な動植物が生息するという。
本記事では、実際に行って分かった、モンテネグロ・ドゥルミトル国立公園・トレッキング&旅行のTipsをお伝えします。
(2016年6月時点の情報です)
目次
その1:カルスト地形と氷河地形を楽しめる
ドゥルミトル一帯は石灰岩を多く含む地層から成るカルスト地形。海底の隆起により岩肌の地層は面白い模様を描いています。岩は石灰岩で白っぽく、木々があまり育たないため草原が広がります。僕らが訪れた6月下旬は草原の緑の中に色とりどりの花が咲き乱れ、とても美しい光景でした。
更に氷河地形も広がります。氷河の侵食でできた大きなカールにはところどころに雪渓が残り、カルストの白い岩肌と相まって、いつまでも見ていたくなる景色でした。
カルスト好き、カール好きな方はきっと大満足できるトレイルだと思います。
その2:自分だけの絶景ポイントで静かな時間を満喫しよう
カールを越えてカルストを登っていくと、最後は巨大な岩が積み重なるゴツゴツした岩山になります。僕らが目指したアイスケイブ付近では、トレッカー達がそれぞれ気に入った岩によじ登り、思い思いの方法で雄大な景色を楽しんでいました。かなり広くたくさん岩があるので、歩き回って探せば自分だけの絶景ポイントを見つけられると思います。
ドゥルミトルとは「眠れるもの」というルーマニア語が語源だそうですが、確かに山の上はとても穏やかで静かでした。お茶を淹れて飲んだり、昼寝をしたりしながら、静かな時間を満喫することをオススメします!
その3:樹林帯部分は落ち葉で滑りやすく蚊が多い
黒い湖ツルノイェゼロからドゥルミトルに入っていく場合、湖のほとりからしばらくは樹林帯を1時間半ほど登っていくことになります。この間は眺望はほぼありません。生い茂る木々と苔生した岩を楽しみながら、緩やかな登りを進んでいきましょう。足元は落ち葉が多く、前日雨だったこともあり、滑りやすい状態でした。
また僕らが訪れた時期は蚊がとても多く、服の上からでも何箇所も刺されてしまいました。虫除け、かゆみ止めなどの準備があると良いでしょう。
その4:補給ポイントはなし、食料や水は多めに持参しよう
トレイル上には山小屋や売店はなく、途中で食料や水を補給できる場所はなさそうでした。あらかじめ調達しておく必要があります。(途中カールが見渡せる場所にBeerという看板を出している小屋がありましたが、僕らが歩いた6月下旬は営業していませんでした。)
ジャブリャクの中心には一通りのものが揃うVOLIというスーパーマーケットがあります。宿で自炊をする場合にも活躍します。
ちなみに、車がない場合、トレッキングの観点では、バスターミナル付近よりも、このスーパーと登山口があるツルノイェゼロの間あたりで宿を確保するのが便利だと思います。
その5:車があればさらにドゥルミトルの奥深くにアプローチできる
ドゥルミトルをトレッキングする場合、拠点となる街はジャブリャクになります。ジャブリャクはドゥルミトル国立公園の東の端に位置し、ここから歩いてツルノイェゼロや、最高峰ボボトヴクック、今回僕らがトレッキングしたアイスケイブへの登山口まで行くことが出来ます。ただし、西側のPrutas山やSkrka湖などにアクセスするには距離があるため、ジャブリャクからの日帰りは難しくなります。ボボトヴクックへも、東側だけでなく西側にもいくつかルートがあり、西側のルートの方が登山時間は短くなるようです。
僕らは当初、景色がいいと聞いてPrutasへの日帰りトレッキングを検討していましたが、観光案内所で相談したところ、車がないと登山口まで行くのは難しいとのことでした。バスはなく、タクシーも高いのでおすすめ出来ないとのことで、自家用車かレンタカーが必要です。
なお、僕らはモンテネグロの首都ポドゴリッツァからジャブリャク、ジャブリャクからアドリア海沿岸のコトルまでをバスで移動しましたが、道路は舗装されており、渋滞などもなく、スムーズでした。ただし、山道はそれなりに狭くガードレールなどがないところもあったので、自分で運転する場合は注意が必要です。
その6:夏のジャブリャクは朝ランが気持ちいい
ジャブリャクの街は標高1450メートルで、夏の晴れた日の朝は高原らしい気持ち良さがあります。トレッキングに行かない日は、街を朝ランするという楽しみ方もおすすめです。スキー場がたくさんあり草原の清々しい景色の中を走ることができます。ツルノイェゼロも遊歩道が整備されていて一周することが出来ますが、湖は国立公園内なので入場料3ユーロが都度必要になります(ジャブリャク周辺は国立公園外)。
ちなみにジャブリャクはスキーリゾートとして有名で、年間120日スキーを楽しめるそうです。なお、夜遅くは出歩いていませんが、朝走る分には特に治安について不安に感じることはありませんでした。
ドゥルミトル国立公園トレッキングで気になることがあればコメント欄に!
ドゥルミトル国立公園でのトレッキングって実際どうなの?と気になることがあれば、コメント欄にメッセージいただければ、今回のトレッキングの実体験をもとに、わかる範囲でお答えします!
コメント
コメント一覧 (6件)
はじめまして、私たなかと申しまして、
現在東欧を旅している大学生です。
昨日ドゥルミトル国立公園のトレッキングを行った際に、
運営者様のサイトに大いに助けられたのでお礼を申し上げたく
コメントをさせて頂きました。
というのも、実は私トレッキングを行った経験がなく、
ドゥルミトルに来たのも全くの偶然がきっかけでした。
当然、準備もまともに行っていなくトレッキングの実行すら危ぶまれました。
しかし、こちらのサイトの御蔭で直前の準備やルートの把握をすることができて、
なんとか人生初のトレッキングを成功させて旅の良い思い出とすることができました。
これからもトレッキングを行うときは是非こちらのサイトを参考にさせて
頂きたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。
たなかさん、ドゥルミトルに行かれたのですね!ドゥルミトルのトレッキングはまだまだ情報が少ないので苦労されたかと思いますが、このサイトが少しは役に立ったとのこと、大変嬉しく思います。引き続き、世界のトレッキング情報を更新していきますので、よろしくお願いします。
はじめまして。現在ヨーロッパ一人旅中で、来週モンテネグロのドゥルミトルへ行ってみようと思っています。情報が少ないので、このようなブログは本当に助かります。
質問なのですが、ドゥルミトル内のトレイルには標識などありますか?道の整備など、どんな感じでしょうか?この旅でイギリスのウェールズや、モンブラン周辺の日帰りトレッキングはしましたが、道も分かりやすかったし人も多く、一人でも迷うことは無かったのですが、、。
教えて頂けると助かります、よろしくお願いします。
くろさん、コメントありがとうございます。
モンブラン周辺と比較すると、標識は少なめで、歩いている人も少ないですが、道は踏み跡がしっかりあり明瞭です。主要な分岐には案内板がありますので、迷うことはないと思います。
ジャブリャクのインフォメーションで地図が購入できる(3ユーロ)ので、手に入れることをおすすめします。
ぜひ、ドゥルミトルのトレッキングを楽しんできてください。
はじめまして。来年の夏にドゥルミトル国立公園に行きたいと計画中で、検索かけたところ、こちらのサイトがヒットしました。情報が少ないため、とても参考になります。ご夫婦で世界中を歩かれたなんてステキです!
いくつか教えていただきたく、ご連絡させていただきました。
①休憩を除く上り始めからゴールまでの所要時間。お二人は健脚でしょうが、教えて下さい。また、中級程度の経験者ならどれくらいかかるかざっくりとした試算をしていただけるとありがたいです。
②高低差
③夏というのは、具体的に何月に行かれたのでしょうか?また、その時期の晴天率はどれくらいですか?私は7月に行きたいと考えています。
私も世界のいろんな絶景をトレッキングする事が夢なので、他の地域も参考にさせていただきます。宜しくお願い致します。
Fさん、こんにちは。コメントありがとうございます。質問にお答えします。
①所要時間
往復で13キロほどの距離を約7時間(休憩除く)ほどで歩きました。僕らもペースは遅い方なので、中級程度の経験者であれば同じくらいかと思います。
②高低差
ジャブリャクの街の標高が1450mほど、僕らが登ったObla Glavaの標高が2303mです。ピークまでは登っていないので、ざっくり800mほどの高低差かと思います。途中アップダウンを繰り返すようなことはありません。
③時期
歩いたのは2016年6月29日です。晴天率はわかりません。トレッキング前日は小雨交じりの曇天でした。
どうぞよろしくお願いします。