ノルウェー北部にあるロフォーテン諸島。フィヨルド地形の穏やかな海に鋭く切り立った山々が浮かぶ、世界で最も美しい場所の一つとも言われる場所。ユーラシア大陸の北西端に位置するこの地は、日本から訪れた僕らにとって、世界の果てのように感じる場所でもある。クングスレーデンを歩いた後、ノルウェーに入った僕らはこの地を訪れた。
本記事では、滞在三日目にトレッキングしたムンケンのレポートをお伝えします。
(トレッキング実施日:2016年8月14日)
概要
- 拠点 ロフォーテン諸島モスケネス Lofoten Islands Moskenes
- 登山口 Sørvågvatnet
- 目的地 ムンケンMunken(775m)
- 往路 9:45登山口出発 14:50山頂到着
- 復路 16:15山頂出発 19:25登山口到着
- 行動時間 約9時間40分(休憩込み)
ロフォーテン諸島らしい景色を求めムンケンへ
ヘルベテスティンデン登山から1日明けたロフォーテン諸島滞在3日目、僕らはロフォーテン諸島らしい絶景が望めるというムンケンMunkenを目指した。
ムンケンの登山口は、モスケネスのキャンサイトから西に歩いて40分ほど。入り口に案内は無いが、オフラインマップの情報をもとにSørvågvatnetという大きな湖の側を入っていく。
湖を越えて次の湖へ
この湖を越えて、少し登ると左手にさらに大きな湖Stuvdalsvatnetが見えてくる。ちょっと奥に入っただけなのに、一気に静かな湖畔の風景に変わり、トレッキング気分を盛り上げてくれる!
湖畔には数件の可愛らしい家が建っており、こんな贅沢な場所で過ごせるなんて羨ましいね〜、なんて会話をしながら進んだ。
湖畔を抜けると、鎖のある急な岩場となる。登りながら振り返ると、越えてきたふたつの湖の向こうに海が広がるようになる!
登るたびに新たな湖が顔を出す
鎖場を登りきると、また左手に大きな湖が見えてくる。この辺りは湿地帯で足元が悪い。ここを抜けると再び登り。登りきると次の湖が見えてくる。
今日のトレイルは登る度に新しい湖が顔を出し、振り返ればその越えてきた大小いくつもの湖が見渡せる。登りを繰り返すため、普通なら気持ちが折れてしまいそうなところを、この背後に広がる絶景が疲れを吹き飛ばしてくれる。
僕らも一つの登りを越える度に、絶景を見ながら、小ランチ休憩を挟みつつ、登っていった。今日持ってきたのはwasa という分厚いクラッカーのようなスカンジナビアスタイルのクリスプブレッド。ジャムやハム、チューブ式のチーズ・キャビアソースをつけて、ちょこちょこ食べた。
湖にほとりに佇む山小屋
何度か登りを繰り返してから少し下ると、ムンケブ小屋Munkeb hutという、山小屋が見えてくる(ここは無人の小屋で、利用するためにはあらかじめモスケネスのツーリストインフォメーションでカギを受け取らなければならないとのこと)。
小屋の側にはテントも見える。ノルウェーは、私有地と国立公園以外は自由にキャンプが可能であるため、テントを背負って歩くハイカーをたくさん見かけた。
荷物は重くなるものの、こんな素敵な場所でのワイルドキャンプなんて最高だろう。
僕らはムンケブ小屋は経由せず、直接ムンケン山頂に続くトレイルを進んだ。
雪が残る湖を越えていく
高度を上げていくと、湖には雪が残るようになり、正面にも海が見えてくる。ここまで来るとどこを見渡しても、絶景…。
最後は急で滑りやすいトレイルになるが、ここを慎重に登りきると、ムンケン山頂だ!
アルプスの頂が海に浮かんでいるような景色
ムンケン山頂は360度の眺望で、初日に登ったヘルベテスティンデンを始めとするモスケネスの山々から、遠くまで連なるロフォーテン諸島のたくさんの山まで見渡すことが出来る。
一つ一つの山は、フィヨルド地形に広がる穏やかな海から直接岩壁が伸びるようにそびえ立ち、アルプスの頂が海に浮かんでいるような景色だった。
これぞロフォーテン諸島という絶景に、やっぱり無理してでも来て本当に良かったねー!と僕らは話をした(ロフォーテン諸島に行くかどうかはスケジュール面で厳しい日程となるため、かなり悩んだのだ)。
下りもたくさんの湖ビュー
山頂での絶景を十二分に楽しんだ後、下山開始。登りでは振り返りながら楽しんだ、大小たくさんの湖ビューを、今度は正面に楽しみながらの下山。
最後まで順調なペースで無事に下山完了。
ロフォーテン諸島は、温暖なメキシコ湾流と北極からの寒冷な風がぶつかる場所で、天気は崩れやすいと聞いていたが、運良くトレッキングした両日は晴天に恵まれた。最高の絶景を満喫でき、大満足の僕らだった(ちなみに、ロフォーテン諸島へ入った日、トレッキングの中日、ロフォーテン諸島から出た日は、雨交じりのぐずついた天候だった)。
歩き終えて
世界のトレイルを巡る旅を企画した時点では、北欧はスウェーデンのクングスレーデンを歩くことしか決めていなかった。
北欧の日程を検討する中で、「スウェーデンに行くならノルウェーにも行きたいよね」という話となり、ノルウェーでのトレッキング先を検討し始めたのだが、ノルウェーの国土は南北に細長く、海岸線はフィヨルドで複雑に入り組んでいる…。すなわち、移動時間と移動費用がかなりかかる国なのだ。
ノルウェーからの出国チケットを先に手配したため、限られた日程の中でフィヨルド観光なども含めて行き先を検討すると、ロフォーテン諸島に行くのは日程的に(体力的に)厳しいかなという心配をしていたが、無理してでも訪れて本当に良かったと思う。
これまで約4ヶ月間、各国のトレイルを歩いて来たが、ここはまさに「最も美しい場所のひとつ」だった。
https://trailtravelers.net/norway-lofoten1/
https://trailtravelers.net/lofoten-summary/
https://trailtravelers.net/lofoten-tips/
※参考にしたサイト
コメント
コメント一覧 (2件)
はじめまして。今年の夏、ロフォーテンに行くことを計画しております。あまりトレッキング経験がなく、素人質問で恐縮なのですが、68NORTHのサイトでムンケンを参照するとタイムが3-4時間とありますが、これは片道(登り)の所要時間になりますでしょうか?
http://www.68north.com/outdoors/hiking-munken/
トレイルトラベラーズさんの行動時間を見ると9時間40分とありますので、少なくとも往復時間ではないと思うのですが、片道としてもだいぶ短く計算されており、どの程度参考にしてよいか悩んでおります。今回の山行は3時間程度しか確保できないため、所要時間を意識して計画を立てなければならず、、実際行かれてみたご感想など教えていただければ幸いです。
tomoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ムンケンへは片道3-4時間見ておいた方が良いです。
僕らのペースはゆっくりですが、登り5時間(休憩込み)、頂上での休憩1時間半、下り3時間といった感じです。
3時間程度しか確保できないとなると、ムンケン山頂まで行くのは難しいかと思います。
どこに宿泊し、どうやって登山口までアクセスするかにもよりますが、僕らの場合、宿泊していたモスケネスのキャンプサイトからムンケンの登山口まで、上記の時間とは別に片道40分歩いています。
参考になれば幸いです。また不明点などあればご質問ください。