ドラゴンが住む秘境 南アフリカ マロティ・ドラケンスバーグ国立公園 ジャイアンツカップトレイル (2)

世界遺産マロティ・ドラケンスバーグ公園。南アフリカとレソトの国境沿いにあり、名前の由来の通りドラゴンが出てきそうな秘境。3000m級の山々が連なり、絶壁と渓谷が美しい景観を織りなしている場所だ。ここにはジャイアンツカップトレイルというトレッキングコースがあり、僕らは5日間かけて歩いた。

本記事ではトレッキング三日目から五日目のレポートをお伝えします。

(トレッキング実施日:2016年10月25日〜27日)

目次

Day3 概要 ムジムクルワナ小屋〜ウィンターフーク小屋

  • スタート地点 ムジムクルワナ小屋 Mzimkuluwana Hut
  • ゴール地点 ウィンターフーク小屋 Winterhoek Hut
  • 9時00分出発 14時30分到着
  • 行動時間 5時間30分(休憩込み)
  • 距離 約12.2キロ

真夏の太陽

板の上で寝たせいか身体が痛い、苦笑。

今日はウィンターフーク小屋Winterhoek Hutまでの約12キロを歩く。朝起きた時点では厚い雲が広がっていたが、歩き始める頃には青空が広がっていた。

小川にかかった吊り橋を渡り、緩やかに登っていく。ジャイアンツカップトレイルは樹林帯がほとんどなく、どこまでも膝丈の草花が広がるトレイルで、日陰が無い。南半球の10月ということで春らしい気候を期待していたが、晴れると日差しは強く真夏のようだった。

日陰がなく、太陽がじりじりと照りつける

トレイルの岩陰からトカゲが顔を出した

正面にガーデンキャッスル

しばらく登るとバンブーマウンテンとリトルバンブーマウンテンの間に広がる高原に到着。ここには湖があって、運が良ければ、鶴が見られるスポットということだったが、水は枯れており、鶴どころではなかった。

ここからは下り。正面に見えるガーデンキャッスルという壮観な岩山の麓が今日のゴール。

途中、私有地の牧場の中を通り抜けたり、アスファルトの道を2キロほど歩いたりして、最後に小高い丘を越えると、今日の目的地ウィンターフーク小屋Winterhoek Hutが見えてくる。

ここには湖があるはずだったが完全に枯れていた

緩やかに下りながら、正面に見えるガーデンキャッスルを目指して歩いていく

可愛らしい円形の小屋

今日のハットは7棟の小さな円形の小屋。

到着し、恐る恐る中を覗いてみると、バンクベッドにはクッションマットが敷かれており、清掃もなされていそうで、まずまずの環境。昨日のハットを乗り越えた僕らにはどこでも快適に感じてしまう、笑。

水シャワーを浴び、手洗い洗濯をし、目の前にそびえ立つガーデンキャッスルを眺めながら、夕方までのんびり過ごす。今日も電気は無いが、ロウソクが残されていたため、明かりを灯し、食後のコーヒータイムも楽しんだ。

左側に並ぶ小さな建物が今日の小屋

小屋の中はこのような感じ。今日はマットレスがあった

Day4 概要 ウィンターフーク小屋〜スウィマン小屋

  • スタート地点 ウィンターフーク小屋 Winterhoek Hut
  • ゴール地点 スウィマン小屋 Swiman Hut
  • 7時40分出発 13時20分到着
  • 行動時間 5時間40分(休憩込み)
  • 距離 約12.8キロ

目の前の岩山へ

今日はスウィマン小屋Swiman Hutまで約12キロを歩く。目の前に鎮座するガーデンキャッスルの斜面を登り、標高を上げていく。昨日と同じように朝は曇りだが、次第に快晴に変わる天気のようで、涼しい時間帯にできる限り登っておきたいところ。

実は昨日洗濯した靴下が朝までに乾ききらなかったため、今日はワラーチで登る。足裏に伝わる心地よい刺激があって、良いペースで登ることができた。

朝方は完全に雲がかかっていたが、徐々に青空が見えるようになってきた

今日はワラーチで歩く。ガーデンキャッスルの中腹まで登り、振り返った風景

どこまでもロングトレイル感

やがて急な登りは終わり、ブラックイーグルパスという峠に到達。その名の通りブラックイーグルの滑空ポイントとのことで、大空を舞う鷹を見ることができた。

広大な草原にどこまでも続く道に、ロングトレイルを感じながら歩き続ける。遠くにグレイ・リーバック(鹿の一種)の群れが通り過ぎていく。

遠くに今日の目的地スウィマン小屋Swiman Hutが見えてくるが、ここからの草原トレイルが長かった。暑さにやられながら、なんとか小屋に到着。

今日も終日、遠くにドラケンスバーグ山脈を眺めながら歩く

山も草原も全てのスケールが大きく、ロングトレイル感がすごい

今日も貸切

今日は、古い住居を再利用した小屋。何も無い殺風景なところはこれまでと変わらないが、リビングには大きな窓があり、外の景色を眺められる。電気もあり、ホットシャワーも使える。四日目となるとこのスタイルの小屋にも慣れたもので、広い家をゆったり使って過ごす。

結局、四日連続で小屋は貸し切り、日中も他のトレッカーにすれ違うこともない。歩いているのは僕らだけ。ヨーロッパであれば考えられないほど贅沢なプライベートトレッキングだが、ここは南アフリカ。のんびりしつつも、どことない緊張感を拭えずにいたのも事実。

今日は夜も晴れて南半球の星空を眺めることができた。

今日の宿泊地スウィマン小屋は、古い住居を再利用した小屋だった

Day5 概要 スウィマン小屋〜ブッシュマンズネック

  • スタート地点 スウィマン小屋 Swiman Hut
  • ゴール地点 ブッシュマンズネック Bushman’s Nek
  • 8時00分出発 13時40分到着
  • 行動時間 5時間40分(休憩込み)
  • 距離 約12キロ

サン人の壁画

ジャイアンツカップトレイル最終日。今日は一番の快晴。今日はブッシュマンズネックBushman’s Nek までの約12キロを歩く。ドラケンスバーグ山脈を背に草原のトレイルを進む。これまでと同じように谷を下り、丘を越えて進んでいく。

途中洞窟があり、サン人(ブッシュマン)のものと思われる壁画を見ることができた。ドラケンスバーグ山脈には数多くの洞窟があり、数千年前のサン族の壁画が残されているらしい。この辺りは夜営禁止だが、洞窟には泊まることができる(申請が必要)。ジャイアンツカップと比べて、より山奥に入り込むため、ガイド付きのツアーで行くのが一般的のようだ。

今日もひたすらロングトレイル感

サン人の壁画。ドラケンスバーグの奥地に行くともっと状態の良いものが残っているとのこと

5日間の旅の終焉

ジャイアンツカップのゴール、ブッシュマンズネックには14時前に到着。事前に頼んでおいた送迎が15時に来て、無事にスタート地点のサニロッジまで戻ることができた。

いつものことだが、泊まっていた宿に戻ってくると、どこか我が家のような安心感がある、笑。この日は夕食を頼んでおいたため、美味しいラザニアを頂きながら、ジャイアンツカップトレイルの踏破を祝った僕らだった。

5daysトレッキングのゴール!ブッシュマンズネックにて

Day3〜5のハイライトと改善点

<ハイライト>

  • ガーデンキャッスルを眺めながらのティータイム
    トレッキング三日目。ウィンターフーク小屋に到着後、椅子に座って目の前のガーデンキャッスルを眺めながら、のんびり過ごしたティータイム。
    ジャイアンツカップトレイルの雰囲気にもようやく慣れてきて、とてもリラックスできた時間だった!

  • 誰にも会わない僕らだけの世界
    右手には南北に連なるドラケンスバーグ山脈、左手には緩やかに伸びる丘陵、正面は数キロ先まで続く草原。そして僕ら以外は誰一人歩いていない。
    トレッキング四日目のブラックイーグルパスは、このスケールの大きなアフリカの大地を思う存分感じることができる場所だった!

<改善点>

  • 特になし!

歩き終えて

スケールの大きなアフリカの大地でロングトレイルを歩いてみたい!という思いから、探し回って見つけたジャイアンツカップトレイル。しかし情報が少なく、どんなトレイルなのか詳しくはわからないまま歩き始めた。

誰にも会わないトレイル、誰もいない小屋、遠くで雄叫びをあげるバブーンに、はじめは心細さもあったが、やがて僕ら二人で独占している状態にちょっぴり贅沢を感じるようになった。

景色がダイナミックに変化していくトレイルではない分、延々と続く風景が脳裏に深く焼き付いて離れない。それは、アフリカの大地を何日も歩き続けたいという思いが、しっかりと達成された証だろう。

 

初日・二日目のトレッキングレポートはこちら

https://trailtravelers.net/south-africa-giants-cup-trail1/

マロティ・ドラケンスバーグ国立公園 ジャイアンツカップトレイルのまとめ記事はこちら

https://trailtravelers.net/south-africa-giants-cup-trail-summary/

世界のトレイルを巡る旅の全体概要はこちら

https://trailtravelers.net/worldtravel-route/

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