王様の散歩道 スウェーデン クングスレーデン・トレッキング (3)

Kungsledenクングスレーデン、日本語では王様の散歩道と訳された北欧を代表するロングトレイル。散歩道と言う名前からはとても穏やかなトレイルを連想させるが、北極圏に位置するこのトレイルは真夏でも気温が低く、天候も崩れやすいため、しっかりとした装備・準備が求められるトレイルの王様だ。今回はアビスコからニッカルオクタまでの約110キロを7日間かけて歩いた。

本記事では、五日目から最終日である七日目のレポートをお伝えします。

(トレッキング実施日:2016年8月7日〜9日)

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Day 5 概要 セルカ〜シンギ

  • スタート地点: セルカ Salka
  • ゴール地点: シンギ Singi
  • 12時00分出発 19時00分到着
  • 行動時間: 7時間00分(休憩込み)
  • 距離: 約12km

今日は朝から冷たい雨

朝から雨が降ったり止んだりしてテント撤収のタイミングをつかめずにいた。今日は12キロ先のシンギ小屋周辺まで進む予定だ。

晴れていれば爽やかな8月のクングスレーデンだが、雨が降るとかなり寒い。厚手の手袋でがっつり防寒していても、指先がかじかんでくる(もともと冷え性なのもある)。レインウェアのフードを被ると視界も狭くなり、景色もあまり楽しめず、写真もあまり撮れず、黙々と進んでいった。

今日は朝から冷たい雨。厚い雲が垂れ込めていた

今日は朝から冷たい雨。厚い雲が垂れ込めていた

遂に遭遇、トナカイ!?

そんな感じなのでテンションも上がらずにいたのだが、そんな時に限って、見慣れてきたこの壮大な景色にアクセントを加えてくれるものが現れた!立派な角のトナカイだ。クングスレーデンを歩くにあたり、実はちょっぴり楽しみにしていたのが、トナカイを見ること、そしてトナカイの角を探すことだった。

トナカイ=クリスマス=楽しい、みたいな方程式が染み付いているらしく、テンションが上がった。

白いトナカイと茶色のトナカイ

白いトナカイと茶色のトナカイ

今日もたくさんのトレッカーとすれ違う

今日もたくさんのフェールラーベンクラシックの参加者とすれ違っていく。参加者は約2,000人となかなかの人数だが、スタートを3日間8グループに分散させていること、トレイルが広く渋滞するようなポイントがないことから、人の多さにストレスを感じるようなことはなかった。欧米の参加者がほとんどだが、韓国・中国の参加者も多かった。

途中、シンギ小屋方面と、シンギ小屋を経由せずケプネカイセ小屋に向かうルートとの分岐があり、そのあたりから日差しが差し込むようになってきた。

今日もたくさんのトレッカーとすれ違う。誰もがなかなかの装備だ

今日もたくさんのトレッカーとすれ違う。誰もがなかなかの装備だ

トナカイの角探し

シンギ小屋までは残り2,3キロ程度。このまま進めば、予定よりも早く到着しそうなので、楽しみにしていたもう一つのこと、トナカイの角探しをすることに。トナカイを見かけてから、角が落ちていないか、目を凝らしながら歩いていたのだが、さすがにトレイル沿いには落ちていなかった。少しトレイルを外れてみる必要がありそうだった。

ちなみに、スウェーデンには「自然享受権」という法的権利があって、すべての人が自然の中を自由に立ち入り活動できる権利だそうです。そのため、国立公園以外であればどこでも野営可能であったり、トレイルを外れて歩くことも権利として認められています。もちろん、これは自然保護に対する理解があるということが前提にあり、成り立っています。

小高い丘の上に数匹のトナカイが見えたため、そちらに上がり、探し回ること30分。緑の草木の中に埋もれている白い物体を発見!ついに念願のトナカイの角を探し当てることができた!

トナカイは鹿と違って、オスもメスも毎年角が生えかわるらしい。一つ見つけると、二つ目、三つ目もすぐに見つかるようになった。

誰かが並べたのではないか?と思われるほど綺麗に揃って落ちてたり・・

誰かが並べたのではないか?と思われるほど綺麗に揃って落ちてたり・・

ドラマチックに変化する夕焼け

十分にトナカイの角探しを楽しんでから、今日の目的地シンギ小屋に向かった。角探しをした小高い丘からシンギ小屋を眺めることができた。

今日もキッチン&サウナ利用を試みたが、シンギ小屋も満室でキッチンは利用できず、サウナ設備はなしということで、小屋から少しだけ離れた場所に野営。

この日は夕焼けがとても美しかった。太陽が地平線に沈んでから、空の色がドラマチックに変化していく。柔らかなオレンジ、燃えるような赤、神秘的な紫へと。太陽高度が低いため夕焼けの時間を長く楽しめた。

これまでできていなかった夕日を眺めながらのご飯!

これまでできていなかった夕日を眺めながらのご飯!

こんなドラマチックな夕焼けが見れたのも五日目にして初

こんなドラマチックな夕焼けが見られたのも五日目にして初

Day 6 概要 シンギ〜ケブネカイセ

  • スタート地点: シンギ Singi
  • ゴール地点: ケブネカイセ Kebnekaise
  • 11時30分出発 18時00分到着
  • 行動時間: 6時間30分(休憩込み)
  • 距離: 約14km

連日の雨でトレイルの状態も悪化

今日はケブネカイセまでの約14キロを歩く。残念ながら今日は強めの雨で、気温もかなり寒い。連日の雨で、トレイルの状態もかなり悪くなってきている。クングスレーデンは渡渉があると聞いていて覚悟してきたのだが、幸いここまで靴を浸水させるような箇所はなかった。しかし今日は避けて通れないかもしれない。

実際歩き始めてすぐに、向こう側から来たトレッカーに「君たちの靴ではこの先歩くのが大変なので、手前に見える湖を迂回した方が良い」とコース取りのアドバイスを受ける。僕らのシューズはGORE-TEXだがローカット。世界の様々なトレイルを歩く上で、軽く歩き易いものとして選んだものだ。一方、クングスレーデンを歩くトレッカーの靴は大半がハイカットの重たそうな登山靴だ。岩稜歩きなどはないため、普通に考えると軽くて歩き易いライトなトレッキングシューズがベストと思われるのだが、この足元の悪さを考えると、しっかりとしたものが好まれるのだろう。僕らは足の置き場を慎重に選んで進むところを、彼らは多少の水溜りなどお構いなしに、ガンガン進んでいく(その分、ズボンの裾は泥まみれだったりする)。そう言えば長靴を履いて歩いている人もいたなと、そんなことを思い出しながら歩く。

今日も昨日に引き続き、広大なU字谷を進む。両脇に伸びる山の中腹には低く細い雲がかかり、風に流されていく。その形が竜に似ており、幻想的な風景を作り出していた。

今日も引き続きU字谷の底を歩く。いくつもの滝を眺めることができた

今日も引き続きU字谷の底を歩く。いくつもの滝を眺めることができた

歩き始めは強い雨だったが、次第に弱まり幻想的な景色に・・・

歩き始めは強い雨だったが、次第に弱まり幻想的な景色に・・・

ケブネカイセ山岳ステーションへ

長くU字谷を歩き続けるが、やがて幾つかの谷が合流し、渓谷にかかった橋を越えると、遠くに幾つかのテントが見えてきた。最後は少しだけ登り返しがあるが、それを抜けるとケブネカイセの山荘だ。

ここの山荘はこれまでの山小屋とは規模が大きく異なる立派な山岳ステーション。僕らのゴール地点であるニッカルオクタから1日で歩いて来られる距離にあり、スウェーデン最高峰のケブネカイセ山登頂への拠点となる場所でもあるため、非常に多くの人で賑わっていた。

二日連続でキッチン&サウナ利用ができなかった僕らは、今日こそはと言う思いでレセプションに行ってみたところ、キャンプの場合でも、キッチン利用、サウナ利用ともに問題なしとのこと!

雨で冷えた体をサウナで温め、広くて綺麗で温かなキッチンで自炊をし、ダイニングスペースでゆっくりと体を休めることができた。

谷幅が広くなってくるともう少しでケブネカイセ山岳ステーションだ

谷幅が広くなってくるともう少しでケブネカイセ山岳ステーションだ

立派なケブネカイセ山岳ステーション

立派なケブネカイセ山岳ステーション

中にはおしゃれなレストランもあり、たくさんの人で賑わっていた

中にはおしゃれなレストランもあり、たくさんの人で賑わっていた

Day 7 概要 ケブネカイセ〜ニッカルオクタ

  • スタート地点: ケブネカイセ Kebnekaise
  • ゴール地点: ニッカルオクタ Nikkaluokta
  • 8時00分出発 13時30分到着
  • 行動時間: 5時間30分(休憩込み)
  • 距離: 約19km

最終日は朝8時に出発

クングスレーデン最終日、今日はニッカルオクタまでの約19キロを歩く。ニッカルオクタ到着後は、キルナの街に移動するため、バス時刻である16時40までに到着する必要がある。これまではあまり時間を気にせずゆっくり出発し、のんびりと歩いてきたが、今日は朝8時に出発!

スーパーマリオのスーパーキノコを発見。毒キノコらしいので食べずに進む!

スーパーマリオのスーパーキノコを発見。毒キノコらしいので食べずに進む!

別れを惜しみながら快調に進む

アップダウンはほとんどなく、雨も降っていないため、快調に進む。今日の行程は、途中、湖をボートを使って移動することができるのだが、その案内板が1キロごとに立っていて、その距離表示をカウントダウンしながら進む。

やがてボート乗り場に到着するが、僕らはボートは利用せず、歩いてトレイルを進む。歩き易い道ではあるが、昨日までの雨で水溜りや水没しつつある木道がたくさんあった。昨日もなんとか水没せずに乗り越えてきたので、最終日の今日も泥まみれになるわけにはいかない!

途中このような距離表示がある。ゴールまでではなくボート乗り場までの距離表示だ

途中このような距離表示がある。ゴールまでではなくボート乗り場までの距離表示だ

無事に110キロを踏破

途中サーミ人が経営するおしゃれなカフェを通過。綺麗に整備されたトレイルになってくるとゴールはもうすぐだった。

13時半、ニッカルオクタに無事到着!

7日間110キロの長旅の終わりだ。バスの時間までかなりあったため、ゴール地点にあるカフェでゆっくり体を休めることができた。

ゴールのニッカルオクタ!達成感でいっぱいの二人!

ゴールのニッカルオクタ!達成感でいっぱいの二人!

立派なトナカイの角が飾ってあるおしゃれなカフェで時間つぶし。快適!

立派なトナカイの角が飾ってあるおしゃれなカフェでバスの時間までゆっくりする。快適!

 

Day5〜7のハイライトと改善点

<ハイライト>

  • トナカイの角探し
    ちょっぴりトレイルを外れて探したトナカイの角・・・ちょこんと落ちている角を見つけた瞬間は感動もの!

  • 幻想的なシンギの夕焼け
    テントから眺めた夕焼けは、オレンジから赤、紫へとゆっくりと変わっていく、とても幻想的なものだった

  • ケブネカイセで浴びたシャワー・サウナ
    6日目にして念願のサウナに入り、シャワーを浴びてスッキリできた瞬間はやっぱり最高。最終日に向けてリフレッシュ完了!

<改善点>

  • 日程に余裕を持ち、デイトリップにも柔軟に対応
    もう少し日程に余裕があれば、途中、景色が美しいと言われた別ルートに進んだり、途中の小屋からデイトリップを行ったりすることができた。今後日程を組む際にはもう少し余裕を持たせたい

 

初日から四日目までのトレッキングレポートはこちら

王様の散歩道 スウェーデン クングスレーデン・トレッキング (1)
クングスレーデン、日本語では王様の散歩道と訳された北欧を代表するロングトレイル。アビスコからニッカルオクタまでの約110キロの行程を7日間かけて歩いた初日・二日目のトレッキングレポートです。
王様の散歩道 スウェーデン クングスレーデン・トレッキング (2)
クングスレーデン、日本語では王様の散歩道と訳された北欧を代表するロングトレイル。アビスコからニッカルオクタまでの約110キロの行程を7日間かけて歩いた三日目・四日目のトレッキングレポートです。

 

アクセスやルートなどのトレッキングまとめ記事はこちら

スウェーデン クングスレーデン トレッキングまとめ (1) アクセス・ルート
クングスレーデン、日本語では王様の散歩道と訳された北欧を代表するロングトレイルでのトレッキングまとめ記事。アクセスと準備、ルートについてまとめています。

宿泊や装備などのトレッキングまとめ記事はこちら

スウェーデン クングスレーデン トレッキングまとめ (2) 装備・宿泊、他
クングスレーデン、日本語では王様の散歩道と訳された北欧を代表するロングトレイルでのトレッキングまとめ記事。気候と装備、宿泊と食事についてまとめています。

 クングスレーデンに実際に行ってわかったことはこちら

スウェーデン クングスレーデンに行ってわかった4つのこと

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コメント

  1. 沢田千津子 より:

    8月の前半に娘(成人)とテント泊主体でクングスレーデンを歩く予定です。ブログを読ませていただき、とても参考になりました。ありがとうございます。気になっているのは、道はわかりやすいかです。またGPSや地図はどうされましたか?あと、コンロは何を持参しましたか?

    • trailtravelers より:

      コメントありがとうございます。
      僕らがあるいたルート(アビスコ〜ニッカルオクタ)であれば、道はわかりやすいです。トレイルが明瞭であることと、常に視界が開けているためです。
      地図は、スタート前にアビスコのツーリストセンターで購入しました。GPSは携帯に、maps.meというアプリを入れて現在地を確認していました。
      コンロは、solo-stoveというネイチャーストーブ及びアルコール式のものを利用しましたが、使い勝手を考えると、ガス缶のものが良いかもしれません。

  2. 早速お返事ありがとうございます。
    気になっていたことが分かって助かりました。
    maps.meというアプリを入れてみます。
    地図は現地で買えて、ガスのコンロが良さそうということですね。
    私は8月5日に日本を発って、オランダで娘と合流して、ニッカルオクタから入り、アビスコに抜ける予定です。ケブネカイセ山にも登れたらと思っています。

    • trailtravelers より:

      8月上旬はとてもいい季節だと思うので、楽しんできてください!